書評:マイクロソフトでは出会えなかった天職/ジョン・ウッド
社会人にはいってから、一つ続けていることがあります。それは、NGO団体プラン・ジャパンの
プラン・スポンサーシップです。元々、「年収の1%は寄付にまわすべき」と何かの本で読んだのを
そのまま行動しているだけで、あまり子供との交流もしていない悪い足長おじさんなのですが、
何もしないよりは、と思って会社が変わろうとも続けさせていただいております。
さて、本題の書評に。本書は30代前半でマイクロソフトの国際部門の要職につきながら、
休暇中のネパールの学校の様子に心打たれ、本を持って帰ってくると約束した著者が
実際にマイクロソフトをやめ、発展途上国に学校や図書館を建設する「ルーム・トゥ・リード」を
立ち上げ、社会企業家となった経験がかかれております。
まず、Leaving Microsoft to Change the worldというタイトルにやられてしまったのですが、
(「世界を変えるために、マイクロソフトをやめる!」なんて、日本の誰がいえますか?)
実際に読んだら、その行動力と実現力に魅了されます。
なにより、素晴らしいと思わされるのは、発展途上国の自立や、支援者を継続的に生み出していく
ためのエコシステム。
まず、発展途上国での活動における「チャレンジ・グラント」という制度があります。これは、
図書館や学校の建設費用をすべて寄付で巻かないのではなく、発展途上国の人々や
地域社会も、金銭や労働を対価とし、貢献するというシステムです。これにより、他人まかせに
しないことで、継続的な維持・発展がなされやすいという利点があります。
また、寄付する側にとってもモチベーションがわく手段を用いているのが、特筆されることだと
思います。「ルーム・トゥ・リード」では寄付したお金がどの施設に対して使われたかがはっきりと
わかるようになります。一般的に、寄付を行ったとしても、その活動がどのように使われているか
わからないということをなくし、透明性を高め、思い入れを強めると言う点で非常に優れた形式では
ないかと思います。僕が、文頭のプラン・ジャパンに支援している理由も、「顔が見える」ことが理由
だったりしますので、これは非常に的を得ていると感じました。
加え、少数の人の寄付に頼るのではなく、人々をネットワーク化し、安定した寄付金を得るための
活動も特筆に価すると考えます。リスク分散という点でもそうですが、なにより実際に組織の中で
活動することはできないけれども、何か協力することができないかという人を上手くネットワーク化
して寄付金を集められた「チャプター方式」というのは、21世紀のネットワーク型社会に非常に
マッチしていたのではないかと感じます。
自分の人生をかけて人々のためになることをする、その精神だけでも素晴らしいと思います。ただ、
それ以上に、ボランティアの場において「継続的に活動すること」「結果をだすこと」を追求し、
類まれなる行動力で実現させていくその姿勢により強く心を打たれました。
そういった点で、ボランティアのノンフィクションという見方だけでなく、ビジネス書としても
非常に価値のある、必読の一冊です。本当にオススメです。
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