decchy: 2009年11月アーカイブ

 ウィルコムの再建支援にソフトバンクが名乗りを上げたという報道について思うところを。

 個人的には、まあ妥当だろうなという印象。その大きな理由は2点。

  • ウィルコムの引き受け先は同業他社しか考えにくい(事実、NTTグループに支援をという話は過去にも漏れ伝えられていたことであり、一方でKDDIについては、UQコミュニケーションズをなんとかしなきゃいけないだろうし)
  • ソフトバンクにおけるデータ通信分野の強化という点でシナジーが考えられる。

 その他、パケット通信のトラフィックをウィルコムのNWに流す負荷分散を狙うという視点も浮かんだけれども、さすがに買収理由としては弱い(キャッシュを生む源泉にならないから)だろうし、そもそも設計上、現状の端末についてはありえないだろうなと言うところ。(W-CDMAに対応したHYBRID W-ZERO3ならできそうでしょうが)

 一方、有利子負債の圧縮を経営課題に掲げるソフトバンクの状況を考えると、本当にありうるのかという点は難しいところ。

 とはいえ、いまさらNECや富士通、日立のような企業が通信網を持つ意味も考えられず、また。現在の株主であるカーライルから他のファンドが買収して何とかなるとは思えない(EXITが決まっている等で一時的にブリッジするような場合は別として)ことを考慮すると、何らかの形でソフトバンクが絡んでくることは間違いないだろうというところで、支援決定理由や今後等の続報をウォッチ指定校と思います。

 それにしても、カーライルの出版から一年足らずで・・・通信とバイアウトファンド、両方の立場を知っているだけに、色々と考えさせられます。

 DeNAとドコモの新会社設立のニュースを聞いて思ったのは、Bee TVと同じモデルだということ(実際、BeeTVを運営するエイベックス通信放送株式会社は今回の新会社と同じようにドコモが3割の資本構成になってます)、とドコモは完全に横綱相撲の体制に入ろうとしているなということ。

 auがGreeやソケッツのようなサービスや技術を持つベンチャー企業と組み(むしろ、「囲い込み」といった方が正確か)サービスを広げていったのと対照的な動きといえるでしょう。

 それどころか、本質的に中立性を守るべきと思われるプラットフォームサービス事業者が「うちは特定の企業とがっつり手を組みますので」と宣言し、自らのプラットフォームの限界と閉鎖性を認めているようにも見てとれます。

 i-modeをきっかけにこれまで数多くのベンチャー企業が生み出され、一種のエコシステムが出来上がっておりましたが、このような展開になるとただでさえ新参者が成り上がっていくのが難しい携帯の公式サイトビジネスにおいて、ベンチャー企業が成功する確率はますます低くなってくるでしょう。(他のプラットフォームに移ればいいという話もありますが、やはり現時点において課金市場規模が大きいi-modeの市場を無視するのも難しいわけで・・・)

 i-modeビジネスが成熟期を迎える一方で、新しいプラットフォームが形成されていくという流れの中では当然に考えられる展開ではあるのですが、ベンチャーサイドにいた人間にとっては複雑な気持ちにさせられるニュースでした。

 

 木曜日に発表された顔ちぇき!の事業譲渡。(参考:「顔ちぇき!」、モバイルファクトリーが買収--ソーシャルアプリ化を目指す(CNET JAPAN))

 Twitterで譲渡元のジェイマジックで検索すると、どうやらジェイマジックは会社清算の方向に向かうとのこと。 

 結局、継続的な収入モデルが作れなかったというところだと思いますが、ベンチャーのビジネスモデルについて考えさせられとともに、会社を縮小させて存続させる道を選ばなかったところが日本のベンチャーでは珍しい印象。

 先日のゴマブックスの「おりおん」もそうですが、今後モバイル系を中心に似たような流れが加速されると思われます。ソーシャルアプリやiPhone、アンドロイド等とは違って意味で注目でしょう。

 政策研究大学院大学(GRIPS)とグローバル・イノベーション・アントレプレナーシップインスティチュート(GIEI)と本田財団による共催イベントであるグローバル・アントレプレナーシップ・ウィークの初日セミナーに招待され、参加してきました。

 その中でも、14時からのセッション「ピーター・ドラッカーと社会的企業」の基調講演として行われた野中郁次郎先生による「ドラッカーが考えたイノベーションとその社会的意義」が非常に面白かったので、備忘のために簡単に内容を。

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  • イノベーションとは何か?

変化or偶然を機会としてとらえること。その手法としては、全体が最初にあり、部分に分解する演繹的手法ではなく、ミクロの動きの中から全体を編み出すという帰納法的手法をとる。

  • イノベーションを見つけ出す7つの機会とは何か?

-予期せぬ成功と失敗、出来事を利用する
-現実と理想とのギャップを探す
-具体的な必要性(ニーズ)を見つける
-産業と市場構造の変化を知る。
-人口構造の変化に着目する
-認識の変化をとらえる。
-新しい知識を共有する。

 ただし、知識の共有によるイノベーションの発見は、「リードタイムが長い」「要因分析、戦略、マネジメントが発生する」「信頼性は低く、成果は測定しにくい」という特徴がある。

 また、イノベーションの発見においては、「分析」を重視しつつ、直観の重要性を認識することが大事であり、組織、システムを分析するのにより重点を置く

  • ドラッガーは「見るために生まれ、物見の役を仰せつけられし者」

 ドラッガーは、予測ではなく、観察する傍観者の立場であり、徹底的に新しい解釈を生み出す。(自らの「プリズム」を持ち、コンセプトを提示するという「作法をとっていた。」)

  • ドラッガーのすごみ

徹底して形式知を追及し、その連結により個別具体の事例から普遍の本質をつかむ能力。また、その裏には歴史・英文学など字への幅広い知見があった。

  • ドラッガーの「強み」「弱み」

強み:追体験と分析を通じた原理と方法を体系化し、明確に提示する力。
弱み:観察者としての立場を崩さない。暗黙知を重視しない。具体的な方法論にとどまり、理論化しないという特徴。

  • 形式知と暗黙知とは?

 暗黙知とは、主観であり、フローである。一方、形式知は客観であり、ストックである。なお、知識創造は暗黙知と形式知の相互変換運動となっている。

  • 知識想像の根幹とは?

 アリストテレスのいうフロネシスという概念が根幹にある。フロネシスとは「賢慮」のような概念。

  • 賢慮型リーダーシップの6能力

-善い目的をつくる
-場をタイムリーに創発させる
-アクチュアリティ(リアルよりより現実に即した現実)を直観する
-本質直感を概念に変換する
-概念を結晶化する
-賢慮を組織化する能力

 その一例が本田宗一郎氏の「対象に住みこむ」「ことばを磨く」といった能力。

  • 賢慮型リーダの基盤となるもの

-教養
-至高経験
-実践と伝統

  • ドラッガーと本田さんの比較

ドラッガーーの教養は「あくなき形式知の追及」であり、本田さんは「あくなき経験知の追及(三現主義)」である。ただ、本質の追求というのがいずれも大事だった。

(イノベーションの話に戻って)

  • イノベーションとは技術というよりも経済や社会にかかわる用語であり、常識の非常識化である。
  • イノベーションと起業家精神が当たり前に存在し、常に継続していく起業化社会が必要。
  • そういった資質を持ちうる「知的体育会系(野蛮人)」たることが必要
  • 成功するかは分からないが、それがコミュニティにとって糧になるエコシステムとなっていく。
  • そして、イノベーションは「勇気と愛」から生まれる…それがドラっガーに学んだこと。

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 その他のセッションも個別で色々と興味深い話があったのですが、それは別途まとめようと思います。

 なお、上記セッションの内容に興味をもたれた方は、イノベーション25戦略会議における野中先生の発表資料を読むとまた面白いと思いますので、参考にしていただければ幸いです。合わせ、下記に挙げた著書を読むと、一層理解が深まると思われますので、ぜひお試しを。

 

        

 楽天がビットワレットを子会社化するというニュースが非常に興味深いです。

 ちょうどこのニュースを見る数日前に、転職エージェントから某SNS屋さんへの転職を勧めるメールが来ており(転職する気がないので、断りましたが)その際に「自分がこの会社にいってやるんだったら、リアル社会でのポイントとの提携」かなあとか思っていたので、余計に関心を持った次第です。

 市場規模が限られる一方、顧客のDB化には成功しているネットのポイントと、決済金額が大きいわりに、データのマーケティングへの活用に限界があるリアル電子マネーという特徴の下で、どのような顧客の囲い込み戦略を行っていくのか非常に注目させられます。

 楽天市場のプラチナ会員としては、EDYへの換金率がアップされるのが一番ですが。

 読売新聞でニュースになった上記記事について思うところを。

 セキュリティリスク自体についてはほうぼうのブログで語られている上に、自分自身がこのあたりの技術に明るいわけでもないので、やっちゃったのかという印象しかないのですが(まあ、課金PFをおろそかにしたのは拙速だったよな、という印象)、商売人として気になったのは記事の以下の記述。

 判明しただけで80人分の購入した計38万円分のアイテムの記録が消滅していたことが判明。さらに、クレジットカードでゲーム内通貨を購入しようとした利用者4200人分の電話番号やメールアドレスが外部から閲覧できる状態になっていたことが分かった。

 80人で38万円という数字から予測できる4,750円というARPUの高さ(コア層が集うMMORPGならともかく、カジュアルゲームでこの額は大きいでしょう。)と、4200名という課金ユーザの数の多さ。

 単純に上記ARPUと課金ユーザを掛け合わせると、サービス開始後数日で2000万円近い金額をサンシャイン牧場は売り上げたことになります。(実際のARPUが上記の1/3程度である1600円と想定しても650万円以上の金額が動いたわけですから、決して少ない額ではないでしょう。)

 システム的にはミソがついてしまったことになりますが、潜在的な市場規模があるだろうということを改めて思わされる記事でした。

 先週末をもってJDC社が上場廃止に。最終的な時価総額は33百万円。

 で、気になっているのは、HPが土曜日からつながらないこと。上場廃止に伴う今後の株券管理などの関係もあり、なんらかのプレスリリースが出てくるかと思ったところで、まさかの展開。

 もしやと思って帝国データバンクの大型倒産速報を見た所、特に記載はないようですが、さすがにこの展開は予想がつきませんでした。

 コンテンツと金融を結びつけると言う点では意義がある会社であったと思うのですが、先に上場廃止したGONZO同様、「仕掛け」で勝負するコンテンツビジネスは難しいということがいまさらながら感じさせられます。(もうかりそうなコンテンツはテレビ局や映画会社等のプレーヤーを中心とした製作委員会で完結されてしまう時点で厳しいビジネスであることは間違いなく、対抗できるには当たる「オリジナル」が必要になるのでしょう。)

[2009.11.2 21:00追記]

HPはつながるようになったみたいです。

Profile

HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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