ニュース: 2008年3月アーカイブ

 以前のエントリーでも書いているのですが、私自身、様々な立場でコンテンツ産業と携わっております。また、単純にユーザとしてもiTunesやパッケージを通じ、音楽などのコンテンツを購入する人間ですので、「テレビのコンテンツはどんどんネットで配信すべきで、それは無料で楽しめるべきだ」というような考え方は、どうかと思っております。

 そのような中、先日より話題になっている以下のようなITmediaやCNETの記事に対し、はてなブックマークの世界を中心に批判的な意見が目立つことに非常に違和感を覚えてました。

「ニコ動」ドワンゴ会長がJASRACシンポに 著作権やビジネス語る - ITmedia News

IT業界はコンテンツを無料で騙し取っていないか--著作権問題の奥にあるもの:ニュース - CNET Japan

 よくある意見としては「既得権者が何をいっている?」「自分から積極的に配信すべき」というようなものがあるのですが、はっきり言えるのは、民放や一般的なコンテンツホルダーは営利企業であるのだから、テレビやDVDのパッケージに比べ得ることができる収入金額が少ないインターネットへは積極的に乗り出す必要性がないと考えるのは当然では、ということ。

 だからこそ、年間数百億円といわれる着うた市場には積極的に参入していることには合理性があるわけで。

 さらに日本におけるPCユーザの行動で問題なのは、お金を払わないこと。

 携帯に比べ10分の1しかPC向けの音楽配信市場がないという日本レコード協会のデータや、はてなでアンケートをとった時に、実に6割近い人間がiPodをもっていながらもiTunesで楽曲を購入したことがないというデータからも思ったのですが、間違いなくこの傾向はあるでしょう。

 そういった点で、得ることができる収入金額が少ない上、フリーライダーが大勢存在している流通ルートを積極的に活用する気が起きないのは当然のことだと思われます。

 その一方で、Life is beautifulのエントリーで書かれている考え方は非常に共感でき、非常にうれしい気持ちにさせられました。

 結局のところは、(ホリプロなどの)コンテンツプロバイダーに対して「儲かる仕組み」を提供しなければ話にならないということ。ニコニコ動画が消費者がテレビ局から盗んで来たコンテンツで盛り上がっている限りは「すきま産業」でしかありえない。コンテンツプロバイダーやテレビ番組の制作会社が「テレビ局とビジネスをするよりこっちの方が儲かるじゃん」と思えるビジネスを作らなければダメだということ。

 そういうところまで踏まえた上でiTunes storeをもう一度見直してみるとAppleの戦略が見えて来る。iTunes storeは今やWal-martに次ぐ世界第二位の音楽流通業者だが、ジョブズの目標はWal-martを抜いて業界一位になるなんて低いところにはない。狙いは当然、iTunes store単体でCD全部の売上げを抜くこと。そしてその次のターゲットはDVD。ジョブズはiTunes storeを「CD」や「テレビ」に匹敵するメディアに育てようとしているのだ。

 中島さんの考え方は実にシンプルでフェア。

 文化性、芸術性といった観点が話を複雑にしていると思っているのですが、はっきり言えるの作品の発表の場を提示し、評価に応じた経済的対価を最大化できるメディアこそが中心になっていくべきなのだと思っております。

 日本においてはPC向けインターネットではなく、モバイルインターネットがその場としての有力候補になっていると思いますが、何はさておき、どうやったら精神的にも経済的にもWin-Winとなれるかを考えなければならないと改めて考えさせられました。

 元記事:ドリコム、楽天と資本業務提携--第三者割当で新株発行も(CNET)

 ベンチャーキャピタリストの一人としてこのニュースについて触れないのもと思ったので、少しだけ書くことにします。

 まず、ニュースを聞いた時に思い出したのは、サイバーエージェントの藤田さんが書いた「渋谷で働く社長の告白」のエピソード。

 上場後、ネットバブルの崩壊に加え、当時サイバーエージェントの業績が振るわなかったこともあり、GMOの熊谷さんから社長を退くように等、強烈なプレッシャーを受けていた藤田さんを助けたのは三木谷さんだったというエピソードがありました。

 当事者ではないのでわかりませんが、今回、ドリコムに対する支援についても状況を比較するとそのように思えます。

 表向きは行動ターゲッティング広告の強化とありますが、実際はGreeのCFOである青柳さんのブログにあるとおり、「上手くいかず困っている若い経営陣を助けつつ、会社としての組織力を強化する」という所でしょう。

 行動ターゲッティング広告という点では、十分な顧客DBをもっている楽天であればドリコムの手を借りず構築できると思います。加え、おそらく楽天自身が必要としている広告は、ドリコムがスペースハンターや新サービスでやろうとして考えていると思われるアドネットワーク構築型ではなく、むしろ、Amazon型のレコメンデーション型のシステムでしょうし。

 さらに言えば、未発表なので詳細は書いてはいけないと思いますが、昨年の11月にデモンストレーションを宮崎で行われたInfinity Ventures Summitでみたことも、上記の見方を強めたりもしているわけですが、(仕組みが想像できた&ビジネスモデルとしてドリコムが行うには欠点があるだろうというのが個人的な見解でした。)いずれにせよ、今回の提携で楽天は再び男をあげたのではないでしょうか?

 もっとも、上記のような支援は楽天がおこなうよりはサイバーエージェントが行った方が、浪花節が好きな人間としてはドラマチックだと思えたのですが。そもそもサイバーエージェント自体、ドリコム株でかなりの利益を上げていたはずですし。

 何はともあれ、ITベンチャーのエキスパートである楽天が支援することでドリコムがどう変わるのか、注目でしょう。

Profile

HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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