日常の最近のブログ記事
今の仕事についてからは毎年(といってもまだ3年目)いくようにしているTAF(東京国際アニメフェア)のビジネスデーに参加してきました。
一通りブースを眺めて思ったのは、アニメのビジネス構造がまた変わってきたというところ。
大きく特徴的だったのは、以下の3点です。
- テレビ放送→DVDで回収というビジネスモデルからの脱却
- 子供向けを中心とした商品化ビジネスの強化
- 3D対応
まず、1点目に付いていえば、過去、イベントの中心を担ってきたテレビ局やDVDの販社のブースが軒並み縮小されていました。わかりやすい華やかさなブースといえば、テレビでいえば日本テレビ、DVDメーカーではAniplex位で、テレビ朝日やTBSは海外番組販売にフォーカスしたブースを出す程度になっていました。(もっとも、フジテレビについては独自に面白いことをやっていました…後述します)
2点目について言えば、子供向けを中心としたマーチャンダイズをメインの回収手段としているだろう展示が多く見受けられました。昔からの国産キャラクターに加え、チェブラーシカ、ウサビッチといった海外キャラクターの展開も目立ちました。
最後に3点目。NHKやアニマなど複数の展示で3次元映像の展示が行われていました。放送サイドと制作サイド、両側からこういった展示があったことは今後の流れとしてみておく必要があるのでしょう。
その中で一番気になったのはフジテレビ。ノイタミナにフォーカスし「AR」をテーマに統一感のある展示をしていました。それこそ、東のエデンの世界。iButterflyを使ったもやしもんの菌を捕まえるゲームの展示(ソフトバンクとのタイアップ…協賛金もでているでしょう、きっと)等非常に面白かったです。映像に加え、広告、販促を組み合わせてアニメのビジネス化をするという独自の(というか、そもそも無料テレビの原点のはずですが)路線で、一歩前に進んでいるという印象を受けました。
結論してしまえば、今年のTAFはビジネスモデルの再転換が見えるだろう展示が多く、華やかさよりも今後アニメビジネスがどう展開されていくだろうかを予測していくに興味深い内容でした。
昨年から話題になっているFREEに引き続き、書籍の無料ダウンロードの実験が始まっている模様です。
一冊は岩瀬大輔さんの「生命保険のカラクリ」で、もう一冊は角川HD会長である角川歴彦さんの「クラウド時代と<クール革命>」。そのモデルを簡単に比較すると、
「生命保険のカラクリ」が
- アンケート回答後、ダウンロード可能
- PDF(縦にスクロール)
- 印刷可能
- 出版後
となり、 「クラウド時代と<クール革命>」が
- アンケートなどは必要なし
- 独自ビューワー(横スクロール)
- 印刷不可
- 発売前
となっております。
で、この異なる二つのモデルですが、個人的には両者とも正解だと思っております。
まず、角川のモデルですが、これはWebコミック等で行われているビジネスモデルを踏襲していると思っておりますが、テストマーケティングの手法として有用になるだろうと考えております。
個人的な経験として、新書を購入する際にタイトルや著者につられ購入したものの、実際に手に取るまで書籍の内容がわからないため、結果としてハズレを引くことがままあります。対し、期間限定とは言え、その良し悪しを事前に読者が見ることができるという点で、読者側のニーズに応えたモデルとなるでしょう。さらには、書籍のアーカイブが充実してきた段階でPV等の指標を部数に反映し、適切な配本を行うことで、現在出版業が抱えている返本問題に対応することも可能になってくると考えております。(もっとも、発売直前ではすでに部決も終わり、配本数も決定しているので現時点では適用できませんが。)
一方、生命保険のカラクリについては「重版=出版社の利益」という発想に基づく販促手法として優れていると思われます。
通常、書籍は、まず新刊平台におかれます。そして、その期間にある程度の実売を稼ぎ、その後は書店でいい位置におかれ、重版を重ねることが勝ちパターンになります。そして、生命保険のカラクリのパターンはこの発想をWebの世界に置き換えるようになるのではと感じました。
実際に売れ、ブログなどで話題になっている書籍を読むことができるようにすることが、書店において平台に置くのと同じ効果を生み出し、ついつい手に取ってめくってみて、面白そうなんでそのまま購入するという流れが作れるのではないかと期待しております。
但し、売れていない・話題にならない本については本作戦は特になんの効果も生み出さないでしょう売れ行き好調で重版がかかり、書評がかかれているような本だからこそ有効な手段に思います。
他方、全文をフリーで見せると書籍が売れなくなるのではという懸念が生まれると思います。ただ、個人的にはこれは杞憂だと思います。理由は簡単で、200ページもWebで見続けるのはつらいからです。特にPDFだとスクロールがしにくいので、面白かったら書籍を買う方向に切り替える可能性が高いのではと考えております。有価証券報告書や決算短信とかでも辛いのだから、文字だけの新書をそこまで頑張って読む気はしません。(プリントアウトすると買うより高いですし)
iPad、Kindle等の動きもさることながら、どうやって紙の実売を伸ばすかという点で面白い試みなので、今後とも期待してみていきたいと思います。
政策研究大学院大学(GRIPS)とグローバル・イノベーション・アントレプレナーシップインスティチュート(GIEI)と本田財団による共催イベントであるグローバル・アントレプレナーシップ・ウィークの初日セミナーに招待され、参加してきました。
その中でも、14時からのセッション「ピーター・ドラッカーと社会的企業」の基調講演として行われた野中郁次郎先生による「ドラッカーが考えたイノベーションとその社会的意義」が非常に面白かったので、備忘のために簡単に内容を。
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- イノベーションとは何か?
変化or偶然を機会としてとらえること。その手法としては、全体が最初にあり、部分に分解する演繹的手法ではなく、ミクロの動きの中から全体を編み出すという帰納法的手法をとる。
- イノベーションを見つけ出す7つの機会とは何か?
-予期せぬ成功と失敗、出来事を利用する
-現実と理想とのギャップを探す
-具体的な必要性(ニーズ)を見つける
-産業と市場構造の変化を知る。
-人口構造の変化に着目する
-認識の変化をとらえる。
-新しい知識を共有する。
ただし、知識の共有によるイノベーションの発見は、「リードタイムが長い」「要因分析、戦略、マネジメントが発生する」「信頼性は低く、成果は測定しにくい」という特徴がある。
また、イノベーションの発見においては、「分析」を重視しつつ、直観の重要性を認識することが大事であり、組織、システムを分析するのにより重点を置く。
- ドラッガーは「見るために生まれ、物見の役を仰せつけられし者」
ドラッガーは、予測ではなく、観察する傍観者の立場であり、徹底的に新しい解釈を生み出す。(自らの「プリズム」を持ち、コンセプトを提示するという「作法をとっていた。」)
- ドラッガーのすごみ
徹底して形式知を追及し、その連結により個別具体の事例から普遍の本質をつかむ能力。また、その裏には歴史・英文学など字への幅広い知見があった。
- ドラッガーの「強み」「弱み」
強み:追体験と分析を通じた原理と方法を体系化し、明確に提示する力。
弱み:観察者としての立場を崩さない。暗黙知を重視しない。具体的な方法論にとどまり、理論化しないという特徴。
- 形式知と暗黙知とは?
暗黙知とは、主観であり、フローである。一方、形式知は客観であり、ストックである。なお、知識創造は暗黙知と形式知の相互変換運動となっている。
- 知識想像の根幹とは?
アリストテレスのいうフロネシスという概念が根幹にある。フロネシスとは「賢慮」のような概念。
- 賢慮型リーダーシップの6能力
-善い目的をつくる
-場をタイムリーに創発させる
-アクチュアリティ(リアルよりより現実に即した現実)を直観する
-本質直感を概念に変換する
-概念を結晶化する
-賢慮を組織化する能力
その一例が本田宗一郎氏の「対象に住みこむ」「ことばを磨く」といった能力。
- 賢慮型リーダの基盤となるもの
-教養
-至高経験
-実践と伝統
- ドラッガーと本田さんの比較
ドラッガーーの教養は「あくなき形式知の追及」であり、本田さんは「あくなき経験知の追及(三現主義)」である。ただ、本質の追求というのがいずれも大事だった。
(イノベーションの話に戻って)
- イノベーションとは技術というよりも経済や社会にかかわる用語であり、常識の非常識化である。
- イノベーションと起業家精神が当たり前に存在し、常に継続していく起業化社会が必要。
- そういった資質を持ちうる「知的体育会系(野蛮人)」たることが必要
- 成功するかは分からないが、それがコミュニティにとって糧になるエコシステムとなっていく。
- そして、イノベーションは「勇気と愛」から生まれる…それがドラっガーに学んだこと。
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その他のセッションも個別で色々と興味深い話があったのですが、それは別途まとめようと思います。
なお、上記セッションの内容に興味をもたれた方は、イノベーション25戦略会議における野中先生の発表資料を読むとまた面白いと思いますので、参考にしていただければ幸いです。合わせ、下記に挙げた著書を読むと、一層理解が深まると思われますので、ぜひお試しを。