書評・レビュー: 2008年10月アーカイブ

 東京国際映画祭(TIFF)で先行上映されていた少年メリケンサックをみてきました。来年2月公開予定の宮藤官九郎監督作品ですが、まずは簡単にストーリーを。

 音楽レーベルで新人発掘を担当するダメ契約社員のかんな(宮崎あおい)はある日、mixiに張られていた少年メリケンサックという名前のパンクバンドの映像を発見し、レーベルの社長(ユースケ・サンタマリア)に報告し、社長は彼らを気に入り、スカウトし、アルバムを一枚制作するようにかんなに命じます。

 かんなは彼らにアポイントをとりますが、実はその映像は25年前のもので、バンドメンバーは50近いオッサンになってしまっており、また、メンバーは離れ離れや車椅子生活になってしまっている等、ありえない状態であることが判明します。

 その一方、HPに張られた25年前の映像は大人気。そのため、社長からは全国ツアーをやるようにという指令が下されました。「ありえない」と思いつつ、カンナは自身の契約期間の延長のため、そして佐藤浩一演じるベーシスト・アキオ役の不思議な説得力をもつ言葉を信じ、乗りかかった船で全国ツアーに乗り出すことになり、ドタバタ劇と人間ドラマがはじまります。

 感想としては、クドカン流のバンドとロックに対する愛情が伝わってくる作品でした。自らグループ魂というコミックロックバンドで活動しているということもあるかもしれませんが、ロックの楽しさやバカバカしさに敬意を払っているのが伝わってきました。

 また、俳優陣の演技がすばらしい。佐藤浩一や木村祐一といったメリケンサックのメンバーはもちろんですが、エキセントリックなオッサンバンドのパワーに負けじとパワフルに行動する宮崎あおいのコメディエンヌとしての演技は特筆に価します。確実に笑えます。(個人的にはちょこちょこ出てくるピエール瀧がツボにはまりそうでしたが)

 脚本としては、良くも悪くも一部「流した」という点がみうけられたり、また作品自身も必ずしも間口が広い一般的なものではないかもしれませんが、音楽好きなら必ず楽しめる一作だと思います。

 公開は2月とのことですが、Youtubeには色々と予告編があがっていて、これをみるだけでも楽しくなりますので、こちらもオススメです。

 

 容疑者Xの献身を見にいってきました。三連休の最終日の午後1時前に始まった回で客の入りは450席強あるシアターで80%位でした。

 正直、原作もドラマ版も見ていない、頼りは定期購読しているダ・ヴィンチの特集記事だけという中での観賞でしたが、予備知識のない人間でも十分に楽しむことができました。

 まず、役者陣が安心してみていられます。天才物理学者の湯川を演じる福山雅治と、彼と対峙する数学者の堤真一を始めとする役者陣の演技は安心してみていられます。

 特に石神を演じる堤真一の演技が素晴らしい。自らが思いを寄せる花岡靖子を一途に守もうとする根暗な数学者という役柄をパーフェクトに演じてい他のではないかと思います。特に中盤から終盤にかけてみせる狂気的な姿には完全に騙されてしまいました。

 また、これは原作の力が多分にあるのかもしれませんが、トリックが見事でした。シンプルだけど人の盲点をつくトリックは、伊坂幸太郎のアヒルと鴨のコインロッカーとも似ており、「やられた!」と思わざるをえませんでした。

 ひょっとしたら原作と比べると評価は落ちるのかもしれませんが、十分に見るに値する作品でした。これを記に原作本も読んでみることとします。

Profile

HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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