書評・レビュー: 2008年3月アーカイブ

  工業化社会から情報化社会に移り行く中で求められる能力として、個人としての生き方については良く述べられていますが、本書は人が集う都市や地域がいかにしてイノベーションを起こしうる存在(=「創造都市」)となるかという点について述べられています。

 リチャード・フロリダはイノベーションの集積は技術(Technology)、人材(Talent)寛容度(Torelance)の3つのTに規定され、とりわけ、後者2つのコンビネーションが重要だといいます。

 簡単に言うと、地域社会における多様な人材をいかにして受け入れるか、その街の寛容性が創造的階層をもつ人を呼びあつめるということですが、本書では、上記の概念を説明した上で、世界各国で行われている創造都市創出の営みについて述べております。

 また、創造都市の中でも、シリコンバレーのような産業と大学と資本がつくりあげたものではなく、国家や行政がより積極的な営みを通じ作り出している都市についての説明に多くのページが割かれております。具体例としては、ボローニャ地方やバルセロナで行われている行政ネットワークを活用した都市の再生と創出、韓国におけるコンテンツ産業都市の創出活動等があります。

 その中で個人的に面白かったのは、スウェーデンの営み。

 「クリエイティブ産業」「コンテンツ産業」という表現ではなく、スウェーデンでは「エクスペリエンス産業」という言葉が使われます。「『体験』への需要、消費を満足させる人々や産業」と定義される「エクスペリエンス産業」はスウェーデンのGNPの5%を占め、1990年代後半において年に6.5%平均で成長しておりますが、国家として意識的に基幹産業として位置づけていることに個人的に驚きを覚えるとともに、一つの都市の形として非常に魅力的に感じました。(実際IKEAとかでは、商品を展示するのではなく生活スタイルを提示しているわけですし)

 正直、スウェーデンのような取り組みは日本国家や東京という規模の都市では難しいと思います。ただ、今後独自性、独立性をもって運営されていくであろう地方自治体の中で、こういった「エクスペリエンス」型の取り組みがよりオープンな形でなされたら面白い、そのように感じさせられるとともに、個人とは違う方向からイノベーションを考える部分で非常に興味深い一冊でした。

 

 

 「ウェブ時代 5つの定理」「おもてなしの経営学」に続く、ITベンチャー業界人の必読本。少し前に読み終えていたのですが、書評を書きそびれていました。

 タイトルの「パラダイス鎖国」とは、在住するには快適すぎて目が内向きになっている(加え、諸外国から見た存在感が薄れている)日本のことを表現する著者の造語。2006年に発表され、いまではGoogleで10万件以上のヒット数を稼ぐようになっています。

 本書は、そのパラダイス鎖国である日本について、シリコンバレー在住の日本人の立場から、

  • 第1章 「パラダイス鎖国」の衝撃
  • 第2章 閉じていく日本
  • 第3章 日本の選択肢
  • 第4章 日本人と「パラダイス鎖国」

 といった構成でかかれております。

 本書で著者が主張している内容は第三章の部分を読めば大体はわかりませ。新書なのでそれ程読むのに時間は必要ないと思いますが、ここだけ読めば、まず内容は理解できるでしょう。

 第三章では、パラダイス鎖国からの開国に向けた戦略として

  • 新興国の追いつけ追い越せ戦略
  • 豊かな小国の一点豪華主義
  • おおらかな資源大国を目指す
  • 日本型が得意とするが果てしなき生産性向上
  • 大国仲間の戦略踏襲
  • シリコンバレー型の試行錯誤方式

 というような形で、世界的な戦略を挙げ、その中で、日本は、「パラダイス鎖国」の先輩であるアメリカを参考としつつ、「ゆるやかな開国」を通じ、イノベーションベースの社会の実現に向け試行錯誤していかなければならないといいます。

 バズワードが文章中にちりばめられており、言葉としてはしっくりときます。ただ、残念ながらそこまでの印象。

 むしろ、もっと著者自らがアメリカで体験した出来事を書いて欲しいと思うわけです。

今後の日本、そして個人がどう進むべきかというような内容は多かれ少なかれわかっているわけです。主張されている内容はウェブ進化論で述べられているような内容から変わってないわけです。さらに言えば、ドラッガーや大前研一が述べているような内容とも根本的な部分では同じだと思ってます。

 だからこそもっと「生の話」がききたいわけです。海部さんの経歴であれば、NTTアメリカやITベンチャー、スタンフォードのMBA等で感じたエピソードがそれにあたると思いますが、もっとそのあたりの具体的な体験を聞きたいわけです。 

 そういう点で、端々にいい表現があるだけに、著者自身の生きたエピソードが少なかったことが「おもてなしの経済学」に比べ物足りない印象を受けてしまいました。

というところで、どちらを読むかと聞かれたら個人的には「おもてなしの経済学」をおすすめします。

     

 海外でも高い評価を受けた、新海誠監督の4作目のアニメーション作品。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3本の短編からなる連作アニメーション。転校族の二人の小学生、遠野貴樹と篠原明里の2人を主人公とし、成長していく中で織り成す恋愛模様についてつづられていきます。

 細かい感想は抜きにいい作品です。丁寧に描かれた景色の中で、主人公が織り成す淡い恋愛模様には、思春期の中学生かという位、ドキドキさせられてしまいます。

 ストーリーとしてはよくあるパターンといえる部分もあることは否定できませんが、そのようなマイナスを感じさせないくらいに、感情が揺さぶられます。

 特に、第二話の「コスモナウト」が個人的には心にきました。遠野貴樹に恋心を抱く澄田花苗を中心に組み立てられたこのストーリーは、「もどかしい距離感」を非常に的確に捉えており、心から感情移入させられるとともに、昔好きだった人に会いたくさせられます。

 また、全編を通しての主題歌が山崎まさよしの「One more time,One more chance」なのがズルイです。ただでさえ切なげなストーリがよりいっそう引き立てられます。

 本当に人の心を揺さぶるパワーを持つすばらしい作品でした。文句なしにお勧めできます。

 ちなみに、メディアミックスの一環として小説化もされています。小説としても面白そうなので、こちらも読んでみようかとも思います。新海監督のほかの作品も見ようと思いますが。

 

     

 Life is beautifulの中島さんの書籍。書籍は以下のような三章で構成。

  • 第一章 「おもてなしの経営学」 -blogに書かれている内容を再編集したもの
  • 第二章 「ITビジネス薀蓄」 -月刊アスキー連載記事
  • 第三章 「特別対談」 西村博之、古川亨、梅田望夫 -一部は月刊アスキーに収録

 とりわけ面白かったのは、第三章のひろゆき、古川さんとの対談。月刊アスキーに収録されていた部分もあるのですが、未収録の部分を加えた全編は読み応え満点です。

 ひろゆきとの対談について言えば、9時5時で変える生活を送るMS社員の現状を嘆く中島さんに対し「働かなくても利益が上がる会社の方がすごい」とひろゆきが切りかえしたり、MSの狙って当てにいけるパワーについて中島さんが解説している部分、Googleについて「そこまですごくない」と語っている部分等、考えさせられる視点がふんだんに存在しています。

 また、古川さんとの間で言えば、アスキー時代の「伝説」やMSでの体験に関する部分が非常に面白い。「アスキー時代に数億円もらっていた」「マウスを渡したら3日でベジェ曲線を書けるプログラムを作ってきた」というエピソードは間接的に前職時代聞いたことがあったのですが(対談を読んで「ホントだったんだ・・・」と思わされました)MS時代の経験も含め描かれている「技術者」と「ビジネスマン」という2つの能力が磨かれ方のエピソードに圧倒されます。

 「技術者」と「ビジネスマン」の2つの能力バランスというのは個人的にも常に考えさせられる問題で、現職でも複数の視点のバランスをとることにかなりの労力を費やしているのですが、その中で中島さんのようなバランスのとり方は非常に勉強になります。技術者の特有の「床屋の満足」に陥らず、ビジネスに勝利するために技術を駆使するかというマイクロソフトで培われた考え方は本当に勉強になります。

 そのような中島さんのエッセンスが詰め込まれているオススメの一冊です。

 

 

 先月見た予告編が面白そうだった「ガチ☆ボーイ」を遅ればせながら見てきました。今回は渋谷のアミューズCQNで観賞。200席くらいのキャパシティーに対し、実際の客数は4割程度の入り。日曜日の午後にしては少し寂しいのではと思いつつ、本編へ。

 ストーリーを大雑把に言うと以下のような感じ。

 エースレスラーが辞めてしまい下火になっている大学のプロレス同好会に主人公の五十嵐(佐藤隆太)が入部。中々技を覚えられない上、デビュー戦では、途中で「段取り」を忘れてしまいガチンコで試合をしてしまう五十嵐。ただ、その試合が客や学生プロレスの団体からは受けてしまい人気者となり、ついには学生プロレス団体のチャンピオンとの対戦に発展していくことに。その一方、五十嵐が物覚えが悪い理由である「高次脳機能障害」と障害が生み出す苦悩が明らかに。周囲の反対を押し切り、プロレスに打ち込む五十嵐。そして、学園祭にてチャンピオンとの対戦に向かっていき・・・。

 正直、ストーリー展開としてはスポーツものに比較的良くあるパターンですし、学生プロレスとはいえ、俳優の肉体はプロレスをやるにはつらいだろうという部分はあります。(プロレスシーン自体は良くできています。練習したのが伝わりますし)

 ただし、映画館で映画を見るスタンスが「観賞」から「共感」を生むための場に変わってきている(*)流れの中では、非常に正しい作品だと思いました。

 程よいバランスで感動と笑いが織り交ぜられ、感情移入もできるオススメの作品でした。

 ちなみに、今回少し気になったのが、公開直前のプロモーション戦略。

 最近の映画でよく有るパターンだと思いますが、公開前後に佐藤隆太を中心としたメンバーが様々なテレビに宣伝目的ででていました。成功のための方程式なんでしょうが、個人的には特に今回のガチ☆ボーイに関してはそれほど上手く以下なったのではないかと。

 テレビシリーズで伝対していたような作品でもないし、短時間の映像で見せる作品でもなく、作品自体のストーリーとクオリティで魅せる作品なのだから、もっとネットやモバイルを活用したバイラル戦略をとることができなかったのかと残念です。

 冒頭の客の入りもそうですし、実際、250館近いスクリーンで上映しているのにも拘らず、公開二週目の週末時点で興行収入が2億円にも満たないという状況を見るとそう思えてなりません。

 とはいえ、作品の出来には関係のないこと。作品自体は、プロレス好きでなくてもオススメですので、ぜひ。

*このあたりは今、仕事の関係もあり何冊か本を読みつつ思うところがありますので、別のエントリーでまとめることとします。

 社会人生活5年、二度の転職を経た中で、読んでおいてよかったと思える本がかなりありますが、今回はその中でも5冊、をリストアップし、一度まとめてみることにしました。といっても、「イノベーションのジレンマ」や「ブルーオーシャン戦略」といったコンセプトに関するような種別の本や、Life Hack系の本ではなく含まず、純粋に社会人として生きる中で一つの指針となるようなものを選んでみました。

 

 まずは、以下の二冊

 

 前者の大前さんの本は、新卒時代に勤めていた通信会社でそこそこ満足して仕事をしていた時に読み考えさせられた一冊。21世紀にはプロフェッショナルなビジネスマンが台頭する時代になり、そのために身に着けるべき「先見力」「構想力」「議論力」「矛盾対応力」「継続学習力」という5つの力について描かれております。

 後者の丹羽さんの本。伊藤忠商事の社長就任や不良債権の処理等といった社長としての「決断」や過去自らの「決断力」がどのように培われたかについてかかれております。こちらの一冊に関しては大前さんの本に書かれているようなコンセプチュアルな能力に加え、決断することの必要性を感じさせてくれます。

実際、本書の影響もあり、経営者やマネージャーとしてのパワーを図る指標として「決断力」を見るようにしていますが、やはり決断力があるタイプの人と仕事をする方がお互い気持ちよく仕事ができているので、間違いなく大切な能力だと思っています。(ちなみにもう一つの能力は「現場力」。現場の細かい部分について把握できているかという所は確実にみるようにしています。)

 

次は仕事をやり遂げる際やプロジェクトに向かう前に読む2冊。

  

 どちらの本も「ターンアラウンドマネージャー」の立場として、苦境にあった企業をどのようにして立て直していったかについてかかれておりますが、ただ勇気付けられるだけではありません

 設定された期限の中で、「何が解決すべき問題であるか」「重要視すべきKPIは何か」を把握した上で、自信を失っている会社の中に希望を見出し周りを巻き込んでいくかといったノウハウがリアリティある言葉で書かれており、非常に有用です。

 と同時に、困難なプロジェクト等があると、つい目の前の作業に取り掛かってしまうあまり、全体像が見えなくなってしまうことが多くなる中で、一度立ち止まり、自分のすべきことを把握しなおすことの重要性を学ばせてくれます。

 

 そして、最後の一冊は、社会とのかかわりを考える際に読むべき一冊。 

 マイクロソフトの要職の立場を捨てた著者が、社会企業家としていかに活動していったかについて書かれている本書は、ビジネスマンとしての立場を超え、自分が社会の一員として何をすべきかといったことを真剣に考えさせてくれます。ビジネスとNPOは相反するものではなく、両立し、補い合えるものであるという考え方も非常に勉強になりました。

 最後に少しまとめを。  

 上記5冊はノウハウというよりも「生き様」にフォーカスされています。  もちろん、それぞれの本において思考方法や行動方法などについては書かれていますし、様々なフレームワークを学ぶことは重要かと思います。

 ただ、そういったフレームワークよりも大事なことがあります。それは仕事は人と人との関係性で成り立つもの。パートナーとの間で適度な緊張感の下、気持ちよく仕事ができることがアウトプットを最大限にでき、継続的にいい仕事が生まれ、能力が高まっていくものだと思いますので。 

 梅田望夫の新刊本。過独自のフレーズを通じWebを通じた新しい時代を説き続けていた著者自身がシリコンバレーで生きるにあたり、ひとつのロールモデルなると感じた言葉を「アントレプレナーシップ」「チーム力」「技術者の眼」「グーグリネス」」「大人の流儀」の5つの視点から紹介している一冊。

 どの言葉が心に残るかというのは個人的な好き嫌いもあると思うのですが、個人的に一番大事だと思うのはあとがきにおける著者自身の言葉です。

 P261-262において梅田さんは仕事を「攻め」と「守り」に分類した上で、守りの仕事のメンタリティだけでは未来を創造できないといい、その上で仕事における「創造的な攻め」の必要性を訴えています。

 そこで個人的に思ったことがひとつ。

 それは本書を含めた梅田さんの著作の中で描かれているシリコンバレーの明るさの影に隠れているようにみえること。

 それは、上記の考えの中で大切なのは、「守りの仕事は必要ない」ことではなく、「守りの仕事の中にも未来につながるような姿勢で臨むことが必要」だということ。

 本書を含めた梅田さんの著作の中では、シリコンバレーの「明るさ」がとかれているのですが、その反面、目立たない部分が軽んじられているの傾向があるのではないかということをたまに感じることがあります。(梅田さんがそう思っているというよりは、本を読んだ人が明かりの部分にばかり目を向けてしまうという意味で。)


 確かにウェブの世界では個人の可能性が無限に存在しているとは思います。

 ただ、その反面、状況に応じた優先度のつけ方が難しくなっていて、結果として影となる「無駄」や「失敗」が過度に疎まれる傾向があるように最近感じております。

 その代表が人間関係だと思っていて、「ライフハック」的な思考の元、自分の都合が中心で世の中のものを決めてしまう思考に対し、どうも居心地の悪さを覚えてしまってもいます。

 だからこそ、自分なりに無駄を含めた生き方やポジションをとってこのウェブ時代をすごしていきたいと考えさせられる一冊でした。

 ちなみに細かい点ですが、本の紙質が安っぽく残念でした。決して安くない価格の本なのだから、その部分にはもっと気を使ってほしく、そういう意味でがっかりさせられました。

 先月末の同窓会で話題になった一冊。Amazonで調べた所、伊藤忠商事の丹羽会長も推薦されていたこともあり、迷わず購入し、先ほど読了しました。

 まず、本書の構成。

  • はじめに
  • 第1章 新しい資本主義のルールをつくる
  • 第2章 新しい技術をつくる新しい産業
  • 第3章 会社の新しいガバナンスとは?
  • 第4章 社会を支える新しい価値観
  • 第5章 これからの日本への提言

 上記のうち、第1章並びに第3章は現行のアメリカ型資本主義の限界や、現行のベンチャー企業の資金調達の問題といった経済的・産業的な面の分析、一方の第2章、第4章は今後必要とされるだろう技術や社会のあり方を「インデックス・ファブリック」(*1)「PUC」(*2)という独自のデバイスを中心に述べており、最後の第5章で今後日本がどうするべきかについて述べてあります。

*1 従来のRDBの欠点を補う、構造に柔軟性を持つデータベースの概念。P2P型のネットワーク社会に適応するためのコア技術になると定義されている。
*2  パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズの略。PCにかわるコミュニケーションツール。誰もがどこでも簡単に使える点で従来のPCの概念とは異なるものと定義されている。

 読んでみての感想は、個別には非常に素晴らしいことをいっていると感じました。

 例えば、第三章のP144にある以下の言葉

 かつて、企業を作るのはヒト(労働力)、モノ(機械、テクノロジー)、カネ(資本)であるといわれた時代がありました。しかし、こうした伝統的なビジネスモデルを現代のベンチャービジネスに適用することはできません。

 現代のベンチャー企業はビジョンと資本が出会ったときに生まれます。

 他にもP161にある

ベンチャーキャピタルにおける投資のコツがあるとすれば、それはまず「主観的な考え方をもつ」ことです。

というような内容や、自身が行っている途上国への援助についてP196で述べている

大切なのは「通常行われている方法が根本的な問題解決になっているのか」という考え方だと思います。安易な解決法を踏襲しないで、自分の頭で一度根本に戻って考えることです。
・・・(中略)・・・
経済的に自立した事業として成立させることができれば、支援をするほうとされるほうが共通の九表をもつことができ、負担を負うだけの立場にある当事者はいなくなるのです。

といった部分等は、なるほどなあと思わされます。

 ただ、反面残念な内容もちらほらあります。

 それは、著者の文章全体から感じられる「実践主義」な思考裏側かもしれませんが、正直、「現場」的な視点で考えているだろう「実践的」内容と、頭の中で思考しているだろう「セオリー的」内容のクオリティの差があるということ。

 第1章や第3章の途中までは非常に面白いのですが、第3章の最後であるような「日本の大企業の研究所とベンチャー企業の連携をすべき」といった内容だったり第5章の提言内容(企業のディスクロージャーや新しい株式市場、税制度等)だったりが腹に収まる感覚を覚えませんでした。 

 通信業界やベンチャー企業、ベンチャーキャピタルといった自分自身が経験した環境の話題が多く、想像しやすい部分が多く(XVDに関しては設定したことすらありますし)読みやすい本ではありましたが、どうも評価がしにくい一冊である反面、他の人がどう思うのか確認してみたくなりました。

 

 昨日の上巻に続いて読み終えた四半世紀前の野村監督本の下巻です。

上巻が現役を引退した年の1980年に刊行されたのに対し、下巻では引退後、解説者生活を経た1982年に発行されただけあり、少し視野が違っております。

 上巻がどちらかというと自身の現役時代や何回の兼任監督時代のエピソードが中心であるのに対し、下巻では1980年代前半のスタープレーヤーも含めた分析、野球論が展開されております。

 下巻の中で特に面白かったのは人材育成に関する部分。自身のエピソードや王監督が助監督だった時代に行ったといわれるエピソードを通じ、「教えないことが大事」といっているのですが、考えさせられる内容でした。なぜなら、そこについつい勘違いしてしまう心理があると思ったからです。

 どういう事かというと、指導者の仕事とは「教えることではなく、人が育つようにすること」だということ。さらに言えば、指導者は、自分の経験や考えに当てはめて指導を行いがちになるけれども、それよりむしろ、指導を受ける側が試行錯誤して物事を学びとるプロセスを整備する事の方が大事だということです。

 基本的な思考や判断基準というものが野村監督の中で変わっていないであろう事もあり、内容としては近著のものと重なる部分もあったりしますが、下巻もやはり読み応えのある一冊でした。

 1980年に刊行された野村監督の本が新装版になっていたので購入。現役生活を終えた年に出版された「プロ野球選手」としての野村さんの集大成をまとめた本ですが、上巻を読み終わったところで、非常にいい言葉があったので備忘の意味をこめ、書いておくこととします。

 第六章「生涯一捕手」、P264-「即今充実」に生きる より

長い選手生活のなかで、野球と社会との関係を見てきたつもりです。三種類あることに気がつきました。

「野球を楽しんでいる人」「野球から学んでいる人」「野球に人生を見ている人」

 問題はどのようにして上記3つの視点を実現するかなのでしょうが、野球だけではなく仕事全般にも言え、振り返りとして意識しなければという視点だと強く感じさせられました。

 上記の言葉以外にも、その他にも四半世紀前に書かれているとは思えない位、今にも通じる話が多く(当時と最近の著書で言っていることがほとんど変わっていないのも驚きですが)、非常に考えさせられる一冊なので、引き続き、下巻も読むこととします。

 先日の週刊ダイヤモンドで紹介されていた勝間オススメ本の一冊。

 本書では、タイトルのとおりではあるのですが、ニュース等で発表される「平均値」「通説」「経済効果」「経済統計」等で発表される各種統計数字がどのようにできていて、どのようなブレが発生しやすいのかといったことが書かれておりますが、全般的に具体例が多く、わかりやすいです。(後半の経済指標については専門用語が増え、難しい内容となっておりますが)

 本書を読んで思ったのは統計に対するアプローチ法について。具体的には、統計数字に接する際には

  • 前提条件、算定基準を確認する。
    ⇒その数字がどのように作られているかを理解する
  • 前提条件を元に、数値を要素を分解した上で、各要素における変更条件を考える。
    ⇒数字=A×B×C+D×Eというように分解した上で、それぞれの要素に対しての妥当性、変更要因を検討する
  • 複数の数字の連関性については、関連しそうな共通要素を考える。
    ⇒AだからBと納得する前に、「AだからC」「CだからB」となる要素を探し出す。

 といった視点を持つことで、その数字の持つ意味を考えることが大事ではないかということ。

 第5章の地下経済の話し等、一部事例に対する検討が微妙に思える部分がありましたが、数字に接するアプローチをかえる意識をもつという点、読む意味のあった一冊。通勤最中の頭の体操としてもいいかもしれません。

 

Profile

HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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