書評・レビュー: 2008年2月アーカイブ

 今月発売の月刊アスキーで中島聡さんと梅田望夫さんの特別対談がありました。

 基本的な内容としては、いかにして技術とビジネスを共存させるかという内容。日米のエンジニア気質のの違い等は今までも言われている通りですが、面白かった点としては、「ハードウェア産業」と「ソフトウェア産業」で分類している部分。

 トヨタのカンバン方式を例に、製造業やハードウェアの領域においては、ビジネスとテクノロジーを両立する中間層が居るのに対し、ソフトウェアの世界にはそういった中間層が存在していないというのが日本の現状であり、問題の根源ではないかという論です。

 この原因としては、

  • ソフトウェア業界自身が若い産業であり十分な中間層が育っていない
  • ソフトウェア市場の市場規模が小さく、プログラマとして一生食べるのが難しい(管理職にならなければいけない)

 といったことが言われております。(後者の市場規模が限られているという部分では、ハードウェアに比べソフトウェアの法が言語に依存する部分が相対的に大きく、グローバル展開が難しいということもあるでしょう。)

 で、この問題の解決方法は正直難しい部分もあると思うのですが、その一つの解決方法が、対談のなかで、中島さんが述べていた「ゲイツ・クローン」なのかもしれないと感じました。

 ビジネスのことを熟知しなければいけないエンジニアを組織的に設け、給料やストックオプション等を高いレベルで渡していたというマイクロソフトのやり方は、一つのあり方として学ぶべき所がありそうです。

 その他、日米における「スーツ」と「ギーク」の定義の違いについても思わされることがありました。日本では対立が前提となっているビジネスサイドの「スーツ」と技術者の「ギーク」ですが、結局のところ、日本では、高校生時代の「文系・理系」の区別を超えたキャリアプランを築くようなことが難しいことが元凶になっている気がしました。

 高校生の時に選んだ進路に従ってキャリアプランが決定され、それに伴い付き合う人種もある程度固定化され、違う考え方、発想をする人種に対しての不信がつのっていくというスパイラルになってしまっているということですが、考えさせられる話です。(高校生の時に人生のルートがある程度決まってしまうなんて、今思うとどうしようもない話ですが…。)

 と思うと同時に、対談のフルバージョンが収録されているという中島さんの書籍は買わなければとも思わされるいい意味で思わせぶりな内容でした。

 VC関連の様々な方々のブログにて「必読」と書かれていた一冊。新品を入手するのに大分苦労しましたが(実際、Amazonでは定価の1.5倍近い値段から売られております。)なんとか購入に成功し、少しずつ読み終え、先日読み終えました。

 本書はタイトルからもわかるように、アメリカにおいて実績を築いたベンチャーキャピタリストのインタビューが収録されています。その人数は35名で、バックグラウンドも多彩。

 個人的に印象に残ったのは、大きく2つの内容。

 一つ目は、ロックフェラー家やホイットニー家による支援やハーバード・ビジネス・スクールのジョージ=ドリオット教授によって設立されたARD等から始まるアメリカにおけるベンチャーキャピタルの成り立ちといったアメリカのVCの歴史について。特に多くのキャピタリストに影響を残したジョージ=エリオット教授の功績がよくわかります。

 そして、もう一つはアメリカにおけるキャピタリストの投資における一つの特徴。具体的には、ベンチャー企業の運営に「組織」を重要視し、経営メンバーの引抜きを含め積極的に支援を行うという所。

 日本のベンチャーキャピタルはアメリカに比べて投資できる金額が小さい、イノベーションに対するリスクマネーが資本市場より供給されにくいというようなことが言われます。確かに金額の多寡が影響を与えることは否定できないと思いますが、実は、アメリカのベンチャー業界の方成功していると思われるのは、「組織」を構成するための人材市場が大きいからではないかとも感じました。

 「優れたアイデアを浮かべることは貴重だけれども、むしろアイデアをビジネスとして実現できる人のほうが貴重」とも言い換えられるのかもしれませんが、少し考えさせられる話です。

 雇用の流動化が進んでいない日本ではまだまだ難しいことかも知れませんが、業界の一員としてどうなっていくか楽しみでたまりませんし、流動化される時代において声をかけられる存在にはなっておきたいと改めて思わされてしまいました。

 先日の週刊ダイヤモンドで紹介されていた勝間推薦本の一冊。60年以上前に初版が刊行された読書の読み方に関する本。

 読書のレベルを下から

  • 初級読書
  • 点検読書
  • 分析読書
  • シントピカル読書

 の4つのレベルに分類した上で、第二のレベルの「点検読書」と第三のレベルの「分析読書」の手法について、中心的に解説を行っています。以下、少し備忘を含めた解説を。

  1. 点検読書とは?

限られた時間内で書籍についての概要を知るための読書手法。目次や索引、解説、帯なども活用することである本について「どんな種類の本か」「全体として何を言おうとしているか」「どのような構成で概念や知識を構成しているか?」の3点について抑えることを目的とする。

2.分析読書とは?

…「理解を深めるために行う」読み手として徹底的に可能な限りの高度な読書。内容としては主に3つの段階にわけられる。「本の内容を詳細に知る」「内容を様々なレベルで理解する」「正しく批評を行う」というのが具体的な内容であり、各段階でさらにいくつかのステップに分類される。(単語を理解するのか、文を理解するのか、といったレベルの違い)

 普段の業務で言えば、点検読書の手法が役に立つという印象。限られた時間の中で業界の特徴を知り、自身の知識や経験を元に組み合わせる業務の効率化に改善できるのではないかと感じました。

 表現が抽象的で分かりにくい部分があり、文章として読みやすくはないのですが、書籍としての構成が非常に分かりやすいので、後から読み返しやすいのもGoodです。

 ちなみにシントピカル読書とは複数の同様の主題を持つ本を読み比べて理解を深めるというもの。ただ分量が少なく、手法として意識して行うのは難しい印象があるので、当面は点検読書の手法からマスターしていければと思います。

 ライブドアの「本が好き!」サービスから献本をいただいた一冊。

 営業をする上で昔から良くやることとして、営業先の業界に関する就職の「業界研究本」を読むことがありました。自分が担当していたクライアントは正直入り込めていない相手が多いため、相手方についての知識をつけ商談のチャンスを掴もうとするために行っていた行動で、この癖は現職でも役に立っていると思っております。(業界研究本を選んでいた理由は「短時間で読める」「わかりやすくまとまっている」の2点です。)

 本書に関してもそういった行動の一環で読ませていただきました。(転職する意思はありません)

 中身は、企業紹介もさることながら、インタビューが充実しております。それこそGoogleの村上社長やYahoo!の井上社長から、Web2.0時代のビジネスマンの代表といえる保田隆明さんや、徳力基彦さんのインタビューまで非常に充実した内容であるといえます。

 一方、課題は3点。

 一点目は読者ターゲットが曖昧な印象を受けたこと。新卒採用の就職や、インターネットビジネスに従事した経験のない(乏しい)人の転職本としては全く問題ないと思うのですが、業界経験者が読むには内容が物足りない印象。

 次は検索性の悪さ。市場解析のページがあり、その業界のプレイヤーが紹介されているのですが、プレイヤーのうち、実際に掲載されている企業については掲載ページ数を書くような対応をして、どの企業が掲載されているか、また、具体的に業界の内容が知ることができるかといった情報がわかりやすくなっていると好ましいのではと感じました。

 もう一点は、Web制作系の企業がジャンルとして紹介されていないこと。せっかくWebプロモーションのカタチでユニクロの取り組みを紹介していることもあるので、Webサービス系の企業だけでなく、このあたりの面白いトリ栗をしているような企業をもっと紹介した方が面白いのにと考えてしまいました。

 ただ、業界とそのプレイヤーをざくっと知りたいという要求に対しては問題なく応えられる一冊ではないかと思います。


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書評/ビジネス

 走る小説家、村上春樹が2007年11月に出版したエッセイ集。ちょうど東京マラソンだからというわけではないですが、遅ればせながら購入しました。

 本書は、小説家となった時点でランニングを開始した村上さんが、ランニングを通じ人生について語っている一冊。過去、自分自身について多くを語らない村上さんが自分自身について率直に語っている時点で読む価値のある本です。

 本書は、2005年のニューヨークシティマラソンに向けたトレーニングの日々の間に思ったこと、過去を回想していることをメインコンテンツとし、その後の2006年のトライアスロンに出場した前後のことをエピローグ的なカタチで構成されております。

 実際、自分自身、過去一度だけフルマラソンを走った経験で感じたのですが、42.195kmの間では本当に色々なことを考えます。

 始めの数キロはコンディションの確認やこれから待ち受けてくる距離への不安。中盤頃は予想外に気分良く走ることができ、このままいけるのではないかという、楽観と油断が混ざった感情。疲労が蓄積された35km位からは、「なんでこんなことをしているのだろう」という後悔にも似た感情。ゴール付近に生じる安堵感。そして、ゴールを通過した際の達成感。

 たった一度きりの経験でも色々と感じているのだから、20数年もの間「走り続けた」著者がどれだけのことを考え、感じていたのかは推して知るべきことに思えました。

 本書を読んで「人生とは本当にマラソンのようなものだ」と一括りにまとめて考えてしまうことはたやすいことかもしれませんが…自分にとってあるべき人生を考えさせられるいい一冊でした。文句なしに面白いです。

 そして、自分自身について考えるだけではなく、また走ろうかという気にさせられる一冊でもありました。

 巨人軍論に続いて、野村監督の阪神論。内容としては大きく3つ。

  • 阪神が弱かった「ファン」「メディア」「フロント」「選手」の4つの原因
  • 阪神の監督時代の体験談
  • 星野監督、岡田監督を通じ、阪神は変わったか?

 やはり、自身が体験された苦労であるだけに説得力があります。(その分グチっぽいですが)特に面白かったのは、自身が阪神で上手く行かなかった理由と星野監督との比較の部分。

 上手くいかなかった理由を「外部環境(上記4つの要素)「自分自身の『あきらめ』、自身との戦いの敗北」と大きく位置づけたうえで、星野監督が自身よりも優れていた物事を「鉄拳(=怖さ)」「人脈」と分析しております。

 後者に関して、補強に対しての対応という面で如実に現れたあります。要約してしまうと、

野村監督=「エースと四番は育たないから補強してくれ」

星野監督=「(エースと4番として)誰と誰が欲しい、で、いくらかければ獲得できる(ように調整した)から獲得させて欲しい」

 といった違いです。思わず、なるほど、と。上司に進言するような場合やクライアントを説得するような場合と同じだと感じたのですが、相手の思考も考えた上で先読みし、実行する能力の大切さを考えさせられます。

 電車の中でさらっと読むタイプの本ですが、阪神ファン、野村ファン以外の人が読んでも面白い一冊でした。

 テレビのコメンテーターでも良く見る諸星教授の著書。私自身は知らなかったのですが、実はオリンピックやサッカー等のスポーツの世界などにおけるロビイストやコーディネーターとして30年以上のキャリアを持っていた方らしいです。

 内容としては、大きく3つに分けられます

  • 自身が経験した実際の交渉活動の現場
    (具体的には、第2章におけるサッカーワールドカップ招致活動におけるロビイスト活動や第4章における過去の歴代オリンピックにおけるコーディネーターとしての活動 等)
  • 交渉において必要な能力、ツボ等のノウハウ
    (具体的には第1章における交渉のワザ・ツボ、並びに第3章の語学力、コミュニケーション能力 等)
  • オリンピックを中心としたスポーツの場などにおける一般的な交渉について
    (具体的には第5章の現在の日本のスポーツの場における交渉力等)

 過去の経験を元に書かれているだけに読みやすい上、ワールドカップやオリンピック等、具体例が興味を惹きやすいイベントなので、読みやすいです。

 で、肝心の著者のいう交渉のツボは、というと、基本的には難しいことはかかれておりません。(どのような状況でも、実践が可能かというと話はまったく別です。)そのツボを一文で言うならば

適切なタイミングで適切な相手に対し、(適切な相手を介し)、お互いの背景・目的・プライオリティといった利害をはっきりと考え、交渉する。

 ということにつき、やはり内容としては、依然読んだハーバード流交渉術と近い印象を受けました。一方、違いとしては、継続的な相手との交渉が多いせいか、よりソフトランディングな結末を求めているということがあります。これは本書における「交渉」がより政治的な意味合いが強いからかもしれませんが、私自身の仕事としても継続的な関係が求められることから、参考になる点はあると感じました。

 ページ数も少なく、さらっと読める一冊なので、通勤のお供にもいいでしょう。

 「反転」とは打って変わっての一冊。2007年7月にNewsweek日本版において「世界を変える社会企業家100人」にも選出されたNPO法人フローレンスの代表である著者(*)が、ITベンチャー企業の経営者の座を捨ていかにして社会企業家の道に飛び込んだのか、またどのように悪戦苦闘をし「病児保育サービス」を立ち上げ、周囲の人間を巻き込み「社会を変えていく」のに貢献してきたのかについて描かれています。

*BLOGもされています:Days like thankful monologue

 「マイクロソフトでは出会えなかった天職」を読んだことで、ボランティアではない「社会企業家」という仕事を知ったのですが、(正直、知るの遅すぎです…勉強不足にも程があります)日本でもこうやってビジネスと社会福祉を両立させている人がいることを知り、驚かされました。

 さらに著者の駒崎さんは自分と同学年!正直、同じ年齢の人間がここまでの情熱と行動力を持ち、自らをさらけ出すことで、多くのメンターとなる人と出会い、さらには周囲を巻き込んでいったかということは大いに考えさせられます。

 もちろん「病児保育」の問題自身あまり良く知らず、だからこそ余計に考えさせられたなったというのもありますが、何よりもさらけ出しながら前に出る、そして世の中を変えていく、その姿勢に完全にやられてしまいました。

 正直、書籍のスタイルとしては2つの欠点があります。具体的には「文字を大きくするなどのよけいな装飾」「1400円という価格設定」がそれです。前者は、照れ隠しの要素もあるかもしれないのですが、余計な装飾はいらないという点、後者は、高校生がお小遣いで買いやすい値段(1,000円未満、もしくは新書)だったらというのがその理由です。

 特に後者は「自分が高校生だったら絶対に読みたい、読むことができたら何かが変わったかもしれない」と思える程なので、残念で仕方ありません。

 ただ、そういった欠点も関係ないくらい、刺激を受けた一冊。心からオススメしますし、自分でも何か、社会のために自分ができることをしたいという気にさせられます。…ということで、本書でも紹介されていた違うNPO法人のパンフレットを取り寄せてしまいました。

 

 半年ほど前から書店に平積みされていて気になっていた一冊。その厚みもあり中々手を出せなかったのですが、先日の三連休を利用して一気に読み終えました。

 法廷での判決シーンで始まる本書は、大きく分けると2部構成にわかれます。

 前半部分は長崎県の平戸の貧しい家庭に育った著者が、苦労の末司法試験に合格した後、検察官として数々の事件解決に活躍したの後、東京地検に栄転となった話となります。ここまで聞く限りでは立身出世伝の趣き。10年の期限という約束の中、司法試験に合格し、また、検察に入庁した後は、大阪を中心に名を上げていく様子は、日本の高度経済成長となぞらえられるかのような迫力があります。また、

 一方、後半戦は、東京地検における数々の捜査現場で生じた「圧力」の数々、そして、それに嫌気が差し、結果として検察庁を辞め、弁護士として新たなスタートを切った後の話がメインとなります。著者が弁護士に転進したのは1988年、時代はバブル真っ只中。弁護士となった著者は表の世界、裏の世界を含め、非常に派手な生活を送ることとなります。

 結果として、2000年には石橋産業事件をめぐる詐欺容疑により、自らが所属していた検察に逮捕されます。(現在上告中、また本文では「国策逮捕」と主張されています)

 本書で印象的なのはやはり弁護士時代の数々のエピソード。100万円のチップを渡す紳士や、節税対策にヘリコプターを買う話など、「本当にそんな時代があったの?」という気にさせられ、ため息が出てしまいます。

 その他、検察時代のエピソードも波乱に満ちており、まさに「事実は小説より奇なり」といった一冊。

 410ページ程とやや分量は多いのですが、「昭和後半~平成時代における日本の発展と闇」を勉強する意味でも一読をオススメします。

  世界ナンバーワンシェアを誇るVJソフト「motion dive .tokyo」、2007年度のグッドデザイン賞を受賞(*)したWebサイト制作ソフト「Bind for WebLIFE」等のソフトウェアを世に出しているソフトウェア制作会社の代表デジタルステージ、その代表取締役の平野さんの著書です。

先日仕事関係でお会いした方に「面白い人がいて、最近こういう本を出したんだよ」と紹介され、「面白そう!」と興奮した所、あつかましくもいただいてしまったのですが、あっという間に読んでしまいました。

 『生活にデザインが求められている時代において、「デザイナー」が考えたことを「カタチ」にする』ということを目標にソフトウェアの開発や、アーティストや企業とのコラボレーションを展開したりしている様子が、本書では描かれているのですが、随所に考えさせられる言葉があります。

 いくつか具体例を。

 まずは、P97「いかに人の気持ちに近い製品を生み出すか」から。

 これからは絶対に、「気持ち」の時代になる。

 個人の気持ちが大切な時代には、組織論なんて通用しない。ビジネスモデルとかシェアとかは関係ない。一番大切なのは、個人にとって、楽しいか、楽しくないかだ。

 次に、P197の「新しいパソコンのカタチ」で、OSのカタチが変わってくると述べたあとのコメント。

 どこのIT系企業もこぞって「リッチな体験」とか「ダイナミック」とか言っているけど、まずそういう言葉を使うことからやめないとダメだ。なぜなら、「リッチな農業体験」なんて言い方、農家の人は絶対にしない。同じように「ダイナミックな農業」とかも、ちょっとヘン。今のITの限界はそこにあって、大切なのは、人が使う姿を想像し、価値観やリアリティーを知り、その人の役に立つものは何かを相手の目線で考えることだ。 

 実際に自分達や自分達の身近な人が使いたいものを作ろうという姿勢でモノ作りを行い、結果としてもグッドデザイン賞を受賞し、数十万人の「有料」ユーザーを獲得しているなどの結果を残している人の言葉だけに、非常に説得力があります。(無料化、広告モデル化が進展するソフトウェアビジネスにおいて「有料」ユーザーを獲得しているということは個人的にすごいと思っております)

 タイトルの『旅する会社』というタイトルを聞くと、良くも悪くもどうしてもWeb2.0企業の雰囲気が漂ってしまうのですが、デジタルステージにはWeb2.0よりもよっぽど確かで、よっぽど自分達の生活に根付いたリアルがある、そう感じました。

 文句なしにオススメの一冊です。

 そろそろPCを買い換えようかと考えているので、その際にはMacにしつつ、ソフトを購入してみようとも思わされてしまいました。

 

 久しぶりに六本木ヒルズのTOHO CINEMASまで「チーム・バチスタの栄光」を見にいってきました。原作が非常に面白かったので、相当楽しみにしておりました。

 結論から言うと、正直がっかりという印象。原作に比べると大分落ちます。本作の中村義洋監督には過去、アヒルと鴨のコインロッカーでもがっかりさせられた経験があるのですが、また原作には勝てなかったという印象です。 

 大枠のストーリーは原作と同じです。チーム・バチスタにおける術中死の理由を解明するように依頼された田口(竹内結子…彼女は相変わらず素晴らしかったですが)がメンバーにヒアリングを重ねたり手術に立ち会うも分からなかったことを、厚生労働省から派遣された白鳥(阿部寛)が最終的に解決するという内容です。

 原作では男だった田口が女性になっているという点は特に違和感はありません。ただ、正直、原作に比べると人間の心理描写が大雑把です。

 「あ、あれはそうだったんだ」と思わせたいのだろう伏線はあるのですが、肝心の登場人物一人一人の人物描写が描ききれていないので(原作を読んでいればわかるのですが)、正直展開に無理がある印象を受けました。

 もちろん、誰が見ても楽しめる映画にするため(そういう意味で、普通の「デートムービー」としては及第点です。)に難しさを排除する必要性はあるのですが、なにかすっきりしない印象を受けてしまいました。

 手術に臨む山口良一のロック歌手のシーンや手術室における犯人の殺人を事前に防いだ行動など何点か面白いところはありましたが、原作のレベルを期待してしまったがために少々がっかりさせられた一本です。

 むしろ個人的には予告編で流れていた「ガチボーイ」が気になってしまいました。(予告編を見る限り、ガチボーイは泣けそうな印象。お父さんのバックドロップに続くか!?と個人的に期待してしまいました。)

 この数年、特にR25が発行開始されて以降街中にフリーペーパーが増えたと思っていたのですが、そんなフリーペーパーの事情についてまとめられた一冊。

 本書では

  • コミュニティーペーパー
  • ターゲットマガジン
  • ニュースペーパー

 と大きく三つに分類した上で、それぞれの代表的なプレイヤー(ぱど、リクルート、メトロ)の取り組みについての紹介や、早稲田大学高等学院の生徒達が実施にフリーペーパーの作成に奮闘した出来事などが書かれております。(この早大学院の事例は読んでいて面白い!自分が高校生だったらやってみたいと思わされる内容でした。)

 インターネットの攻勢もあり廃刊に追い込まれてしまったプレイヤーが多く存在する一方で、実に年間に1億部近く発行され、4000億円以上もの市場を持つと試算されている(どちらも過去5年間で2倍近い伸びで、額にしても国内のインターネット広告とほぼ同規模の市場です)フリーペーパーのもつ潜在的な市場の大きさを感じさせられます。

 また、印象に残ったのは、第三章「問われる広告効果」の中で書かれている『交通広告の一環としての「フリーペーパー」の存在』という考え方。P72からP74で資生堂のマーケティングディレクターである高津さんが言う「動く交通広告メディア」という内容は考えさせられました。

 また、商品認知から商品理解に消費者を向かわせるという流れの中で、テレビ等のマスメディアを補完する効果というものも非常に勉強になります。

 どうしても広告というとインターネットに目を向けがちですが、もっとフリーペーパーも含めた街の中の広告に目を向けなければと思わされる面白い一冊でした。(ちなみに、街の中の広告といえば、隙間広告社かもしれませんが…社歌は必見です。)

 

 

 勝間本ならぬ勝間特集の週刊ダイヤモンド、勝間和代さん流の知的生産向上のための仕事術が実に34ページにわたって特集されています。

 早速やってみた自らのグーグル化自己診断テスト。項目AのIT活用度は5であった一方、Bの情報整理、Cの情報発信・人脈構築、Dの生活習慣・時間管理になるに従い低い数字になる結果に反省。(でも、オフィスワークが続く場合は、間食したくなりますって…)

 また、記事の内容では、「マッキンゼーで教わった情報整理の『イノハのイ』」が印象的。

 情報整理の基礎技術として「情報の空・雨・傘理論」「ピラミッドストラクチャー+MECE」が挙げられていますが、とりわけ前者が勉強になります。

  • 空が曇ってきた(=情報認識) 
  • 雨が降りそうだ(=解釈) 
  • 傘を持っていこう(=行動)

 とあらゆる情報は整理できるとの考え。これは自分が話す時はもとより、人の話を聞いてまとめるのに便利に感じましたので、さっそく使ってみたいと思います。

 その他では、P46-P47にある「勝間が選んだ良著50冊」とP58-P61「私の知的生産術」の系譜が面白いです。両方のリストを合わせ、7冊しか読んでいない(それも最近読んだ本がほとんどない)ので、気になった以下の五冊

をまず読みたいと思います。

 ちょうど何冊かAmazonで注文したばかりな上、たまっている本もあるのですが、おかげさまでワクワクさせられる時間が増えそうです。

 勝間本も損がないかもしれないけど、勝間雑誌は予想以上にお買い得でした。ただ、Amazonで買うと色々と制約があると思うので、街の本屋がコンビニでどうぞ。 

 先月のアキバが地球を飲み込む日に続いての秋葉原関係の一冊。前回がアキバ経済新聞という、言わば「地」からの視点に対し、本書は秋葉原クロスフィールド構想のプロデューサーである著者の「天」の立場からの一冊。

 ただ、「天」といってもお役所的な「あるべき論」で語られるものではありません。アキバにオフィスを構え、フィールドワークや対話を重ねた上のプロデュースについて語られております。

 内容としても非常にまっとうです。定性的な、地理的な特徴や「トンガリ続ける」場所としての存在意義を踏まえつつ、いかにして秋葉原をプロデュースしてきたか、ということや、今後どのようなことをしたいのかといった内容が書かれております。秋葉原はこういう街だから、このようなコンセプトでプロデュースしていくのがいいのでは、といったことは非常に良く理解できます。(本書の第二章第1節「秋葉原の特徴を掴む」等はなるほどなあと思わされます。)

 ただ、納得するかは別の問題です。自分自身がこの数年アキバに足を向けていないというのが一番の問題なのかもしれませんが、結局の所、アキバが魅力的になって継続的に訪れたくなっているかというと、そうは思えませんでした。むしろ、限られた人たちが集ってくる閉鎖的な印象を、本書を読んだ限りだと受けてしまいました。

 むしろ、個人的には、アキバには他の街での異種格闘技を積極的に行い、ポップでとがった街としての存在感をアピールして欲しい、そんなことを感じさせられる一冊でした。

 まずは、近いうちにアキバを歩き回ることからかも知れませんが。

 伊坂幸太郎の最新作、ハードカバーで約500ページに及ぶ大作。

 首相公選制が採用された架空の日本、出身地である仙台で行われた凱旋帰郷パレードの最中、首相が暗殺されます。第一章「事件のはじまり」から第三章「事件から二十年後」まではいかにして事件がおきたかということや、いかに不思議な事件だったかといったことが、サイドストーリーとして語られます。謝辞にもあるのですが、ストーリーのモチーフはケネディアメリカ大統領の暗殺事件です。

 そして、400ページ以上に及ぶ第四章がメインストーリー。主人公の青柳雅春が大学時代の旧友である森田森吾にいきなり呼び出される所から話は始まります。

 青柳に対し、このままではケネディ暗殺事件(*1)の犯人とされているオズワルドになってしまうぞと森田は警告する中、遠くで爆音が聞こえ、首相暗殺事件が発生します。その後、青柳はいきなり警官に銃を向けられ、逃走を開始します。

 連続通り魔を捕まえるお題目の元設置されたセキュリティポッドという監視システムの網の中、青柳は逃走を続けます。「人間の最大の武器は習慣と信頼」という森田の言葉を一つの拠り所にし、青柳は直接的、間接的に周囲の支援を受けつつ、強大な権力から逃走を続けていく青柳の姿、読んでいる側はどんどん引き込まれていきます。

 途中に挟まれている過去のエピソードが見事な伏線となってストーリーが進み、物語はクライマックスを迎えることとなります。忘れてしまいそうなエピソードまでをきちんと組み込むストーリーはさすがだなあと思わされます。

 小説自体の完成度としては、ラッシュライフやアヒルと鴨のコインロッカーの方が正直面白いのではないかと思います。ただ、「対峙しなければいけない得体の知れないもの」に対して、伊坂幸太郎と抱えている思いというものが、本書には現れている気がしました。

 なぜそういうことを思ったかというと、宣伝会議の2月号の巻頭インタビュー(*2)において「贅沢なのは分かっているんですけど、伊坂幸太郎をやめたいなあ、と思うこともあります。バンドだったら解散」と等と今回の作品に至るまでの苦闘を語っている内容が推測の根拠だったりするわけですが、そのような思いを除いたとしても十二分に面白い作品でした。

 貸してくれた24君、ありがとう。

*1 Wikipedia:ケネディ大統領暗殺事件

*2 立ち読みしただけなので、詳細は覚えていません。

 

Profile

HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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