書評・レビューの最近のブログ記事

 今年の年初に読んだTENGU以来柴田哲孝さんの本を読もうと思っていました。その中で本書をチョイスした理由は2つ。モーニングで連載されちょうど単行本が発売されたBILLY BATの題材が「下山事件」だったことと、昔習ったりしたけれどもよく事件のことは知らないないので、少しは勉強しておこうという所があったこと。

 本書はジャーナリストである著者が叔母から「自分の祖父が下山事件に関わっていたかもしれない」と聞かされたことをきっかけに、文献と関係者、及び先人達へのヒアリングなどから独自の推理を展開しております。

 Amazonのレビューを見ると、単行本で発売された内容からの加筆が多すぎるという批判や、信用性の乏しい証言から主観的に論理を組み立てているといったような批判がありますが、個人的には、戦後最大の謎とも言われる事件が網羅的、且つ、臨場感をもった形で解説されており、非常に興味を持って読むことができました。(年初から戦前、戦後の歴史人たちの話を読んでいたことが事件の背景にある時代背景の理解の助けとなったことも幸いしました・・・予備知識がないと読みにくい部分がある印象です。)

 とりわけ事件に深く関わっているとされる亜細亜産業の矢板玄氏へのインタビューの下りは読んでいて非常に刺激的であり、ページをめくるスピードが早くなりました。 

 最終的に実行の中心となったと著者が推理する人物は意外といえば意外な人であり、実際の実行者かどうかはわかりませんが、他の書籍やBILLY BATとも読み比べたくなる話でありました。

 

  

 映画「ハゲタカ」を見に行ってきました。

 今回のハゲタカは日本の自動車メーカーを買収しようとする中国系ファンドの「赤いハゲタカ」と日本のハゲタカ「鷲津ファンド」との戦い。

 結論から先に言うと、最終的な鷲津ファンドの逆転劇は面白かったですが(手法としては「トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行」に近い印象)、買収ドラマと言う点ではストーリー展開、リアリティの両面で、テレビドラマ版に比べ、少々物足りなさが残りました。

 相変わらず特に何もしていないのに評価される柴田恭平の立場はいいとして、中盤のTOBの価格吊り上げ合戦のあたりは正直、物語として平坦な印象を受けました。(もっと「寝技」や「直接対立」のような要素があると面白かったかもしれません)

 その一方で思ったのは、今後、日本の企業を買収に来る中国企業やファンドは間違いなく増えるだろうなと言うこと。特に製造業における「生産技術」やメディア業界におけるの「原作提供力」といった分野(これらは日本が得意とし中国が苦手としている分野だと個人的には認識しておりますが)に対して、さまざまな形での資本参画が見られるのではないかと考えております。(それがいいことなのか、悪いことなのかはわかりませんが)

 そういった意味で、今後の世の中を先読みした興味深い映画になっていると思われ、それだけにもうひとつふたつひねりがほしい作品でした。 

 予告編を見て気になっていたグラン・トリノを遅ればせながら見に行ってきました。TOHO CINEMASの4番スクリーンと収容人数は少ないシアターでしたが、土曜の昼下がりに8割以上の座席が埋まっていました。半数が40代以上と年配の方が多い印象でした。

 内容は、親族からも疎まれていたクリント・イーストウッド演じる頑固な老人が、隣に住む少数民族の姉弟との交流を通じ変わっていく様子を描きながら、「人生のありかた」を伝えていく物語でしたが・・・いい意味で非常に重い映画でした。

 外部環境や自らの内面など問題等、まっすぐに生きることは難しいし、誤解やトラブルを招くこともある。だからといって簡単にまっすぐに生きることをあきらめてはいけない。

 言葉で表現することは難しいのですが、そういった力強いメッセージが伝わってくる非常にいい映画でした。

 決してデートムービー向きではないし、見やすい映画ではないですが、ぜひ、映画館で観ておくことをお勧めします。

Profile

HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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