書籍の無料ダウンロード
昨年から話題になっているFREEに引き続き、書籍の無料ダウンロードの実験が始まっている模様です。
一冊は岩瀬大輔さんの「生命保険のカラクリ」で、もう一冊は角川HD会長である角川歴彦さんの「クラウド時代と<クール革命>」。そのモデルを簡単に比較すると、
「生命保険のカラクリ」が
- アンケート回答後、ダウンロード可能
- PDF(縦にスクロール)
- 印刷可能
- 出版後
となり、 「クラウド時代と<クール革命>」が
- アンケートなどは必要なし
- 独自ビューワー(横スクロール)
- 印刷不可
- 発売前
となっております。
で、この異なる二つのモデルですが、個人的には両者とも正解だと思っております。
まず、角川のモデルですが、これはWebコミック等で行われているビジネスモデルを踏襲していると思っておりますが、テストマーケティングの手法として有用になるだろうと考えております。
個人的な経験として、新書を購入する際にタイトルや著者につられ購入したものの、実際に手に取るまで書籍の内容がわからないため、結果としてハズレを引くことがままあります。対し、期間限定とは言え、その良し悪しを事前に読者が見ることができるという点で、読者側のニーズに応えたモデルとなるでしょう。さらには、書籍のアーカイブが充実してきた段階でPV等の指標を部数に反映し、適切な配本を行うことで、現在出版業が抱えている返本問題に対応することも可能になってくると考えております。(もっとも、発売直前ではすでに部決も終わり、配本数も決定しているので現時点では適用できませんが。)
一方、生命保険のカラクリについては「重版=出版社の利益」という発想に基づく販促手法として優れていると思われます。
通常、書籍は、まず新刊平台におかれます。そして、その期間にある程度の実売を稼ぎ、その後は書店でいい位置におかれ、重版を重ねることが勝ちパターンになります。そして、生命保険のカラクリのパターンはこの発想をWebの世界に置き換えるようになるのではと感じました。
実際に売れ、ブログなどで話題になっている書籍を読むことができるようにすることが、書店において平台に置くのと同じ効果を生み出し、ついつい手に取ってめくってみて、面白そうなんでそのまま購入するという流れが作れるのではないかと期待しております。
但し、売れていない・話題にならない本については本作戦は特になんの効果も生み出さないでしょう売れ行き好調で重版がかかり、書評がかかれているような本だからこそ有効な手段に思います。
他方、全文をフリーで見せると書籍が売れなくなるのではという懸念が生まれると思います。ただ、個人的にはこれは杞憂だと思います。理由は簡単で、200ページもWebで見続けるのはつらいからです。特にPDFだとスクロールがしにくいので、面白かったら書籍を買う方向に切り替える可能性が高いのではと考えております。有価証券報告書や決算短信とかでも辛いのだから、文字だけの新書をそこまで頑張って読む気はしません。(プリントアウトすると買うより高いですし)
iPad、Kindle等の動きもさることながら、どうやって紙の実売を伸ばすかという点で面白い試みなので、今後とも期待してみていきたいと思います。
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