2009年5月アーカイブ
予告編を見て気になっていたグラン・トリノを遅ればせながら見に行ってきました。TOHO CINEMASの4番スクリーンと収容人数は少ないシアターでしたが、土曜の昼下がりに8割以上の座席が埋まっていました。半数が40代以上と年配の方が多い印象でした。
内容は、親族からも疎まれていたクリント・イーストウッド演じる頑固な老人が、隣に住む少数民族の姉弟との交流を通じ変わっていく様子を描きながら、「人生のありかた」を伝えていく物語でしたが・・・いい意味で非常に重い映画でした。
外部環境や自らの内面など問題等、まっすぐに生きることは難しいし、誤解やトラブルを招くこともある。だからといって簡単にまっすぐに生きることをあきらめてはいけない。
言葉で表現することは難しいのですが、そういった力強いメッセージが伝わってくる非常にいい映画でした。
決してデートムービー向きではないし、見やすい映画ではないですが、ぜひ、映画館で観ておくことをお勧めします。
前回のエントリーに引き続いて、最近読んだ本の感想を簡単に。
- 一瞬の風になれ(1)(2)(3)/佐藤多佳子
2007年の本屋大賞作と吉川英治新人文学賞をダブル受賞した作品。全三巻を単行本でそろえると高いと感じ、文庫本を待っていたのですが、中古本が手ごろな値段で売っていたので購入しました。
天才サッカープレーヤーを兄に持つ主人公神谷新二は、高校進学とともにサッカーをあきらめ、陸上エリートである幼馴染の一ノ瀬連とともに進学した県立高校で陸上のスプリントに打ち込む話ですが、良質の青春小説でした。
3年近い取材に基づいているだけあり、陸上シーンの描写が非常に精緻かつ生き生き描かせております。一方のキャラクターも、主役の2人以外に関しても一人ひとりに個性をもってに描かれており(特に、顧問の「みっちゃん」こと三輪先生が個人的にはいい味だしてました。)読み手として、作品の世界観にぐいぐい入り込まされます。
また、先が読みたくなるような絶妙な形でエンディングを迎えているのも心憎い所です。ぜひとも、続編や外伝等をと思わされる作品でした。
- Bボーイサラリーマン/HIRO
EXILEリーダー、HIROが他の3人のダンサーをを勧誘する際に語ったエピソードと言う形で描いたノンフィクション風の小説が中心となった一作。最近、個人的に「草食男子」「歴女」「EXILE」の3つのキーワードは相互に関連しているのではないかと思っていたこともあり、その検証のため、購入しました。
上記3つの関連性については別エントリーでまとめようと思いますが、とりあえず、HIROが「停滞すること」に対しリスクを感じ、行動し続ける理由はわかるような気がしました。
- 孫正義世界20億人覇権の野望/大下英治
以前読んだ「孫正義 起業のカリスマ」の続編と言える本。これについて色々と興味深い内容もあるので、別エントリーでまとめます。
- 得をするマンションの選び方-プロが選ぶ77のポイント/碓井民朗
一級建築士であり、マンション購入に当たってのコンサルタントを行っている著者によるマンション購入指南本。建築家だけあって、建築構造や素材に関する専門的な論点は勉強になります。
一方で、おススメの業者は「一番は財閥系、続いて電鉄系」という普通すぎてポイントにならないような内容や、「主寝室の床はカーペットがいい」(理由:柔らかさが感じられるから・・・マンションの選び方と関係ある?)、「買い時は2010年末以降」(理由:本格的な景気回復は2011年以降になると思うから・・・ちなみにその根拠は記載なし、そもそも一年半買っちゃいけないと思う人がこの本を2009年の春に出すのはどうなんでしょ?)といったツッコミどころ満載な内容も数多く存在しており、普段からいい本が多いと思っている角川oneテーマにしては、クオリティは疑問視されます。
あくまで、自分にとって必要だと思う部分だけを読むのがいい本でしょう。
一方で、まだ読んでいない本も数冊あります。今週以降業務等が忙しくなりそうですが、上で宿題とした内容と追加で読んでいる本については別途まとめるようにしようと思います。
4月の後半からGWにかけて読み終わった本がかなりあるのですが、書評を書いていないものが増えてきたので、それらの本をリストアップをしてみました。
- 野球力再生/森 祇晶
- 不透明な時代を見抜く「統計思考力」/神永正博
- (新装版)長い家の殺人&白い家の殺人/歌野 晶午
- 一瞬の風になれ(1)(2)(3)/佐藤多佳子
- Bボーイサラリーマン/HIRO
- 孫正義世界20億人覇権の野望/大下英治
- 得をするマンションの選び方-プロが選ぶ77のポイント/碓井民朗
まずは4月中にに読み終わっていた上4冊について、簡単にコメントを。
- 野球力再生/森 祇晶
西部の黄金時代を築いた名将が現状の日本のプロ野球について改善できるのではと思うところを過去の経験を交え、コメントした一冊。今はハワイに住み、日米のプロ野球を俯瞰的に見たり、Jリーグとの比較などを行ったうえでのコメントが基本的になされているので、OBからのいいたい放題という内容にとどまっておりません。野球好きにとっては面白い一冊でした
- 不透明な時代を見抜く「統計思考力」/神永正博
具体例をもって統計を教えてくれる入門書としては非常に読みやすかったです。特に統計学を学んでいない立場なので、考え方が整理されているのは助かりました。仕事の際に違うスパイスとして使えるようにしてみようかと思います。ただ、値段が高い。書いてある内容とボリュームからいうと新書で充分だったと思われました。(この出版社の本を買うと大体思わされるんですが・・・それこそ角川oneテーマ向きの一冊に思われました。)
- (新装版)長い家の殺人&白い家の殺人/歌野 晶午
以前面白かった「葉桜の季節に君を想うということ」が非常に面白かった歌野さんのデビュー作が新装版になっていたので、購入しました。「葉桜~」に比べ伏線の張り方は弱く、また登場人物のやり取りも洗練されきっていない印象を受けましたが、トリックの作り方は片鱗が感じさせられますし、なにより文章から勢いが感じられ、一気に読んでしまいたくなる本でした。
ダチョウ倶楽部の竜ちゃんを中心とした芸能界の「飲み会集団」、竜平会。元U-turn「土田」、「劇団ひとり」、元猿岩石吉」、デンジャラスといった主力メンバーの多くは一時期テレビにあまりでられないような不遇の時代をすごしておりました。ただ、現在、数々のバラエティー番組で誰かが出演しているような状況になっております。
本書は、ダチョウ倶楽部のリーダーと竜ちゃんや、「復活した」メンバーを会社組織のメンバーになぞらえ、どのように行動したら組織の中で生き残れるかということを各人へのインタビューを通じ語っております。
いわゆるタレント本だと思ったら大間違い。まず、内容がタレント本のレベルではない程に濃いです。9人のインタビュー内容が約20ページずつまとめられているのですが、一度に2・3人のエピソードを読むだけで(笑い)疲れます。
とりわけ、土田晃之が語るエピソードは非常に面白過ぎます。伝説のようなエピソードにあふれる竜ちゃんの人格・すごさについての分析や竜平会のあり方、会における立ち振るまい方は、論理的であり、感心させられます。
その中で特に、印象に残ったのはP38で「芸人・上島竜平」のすごさ。
有吉にしても劇団ひとりにしても、上島よりは才能も面白さもある人たちなんだけど、でもみんな上島の下につくじゃないですか。そこがあの人の人望っていうか、神に近いところですね。細かい技術だったら、あの人に負けないだろうけど、”芸人”としての大きなまとまりでいうと、「この人に勝てないかな?」って思う。
ほとんどの内容がツッコミでしまられる中で、本能的に感じられている部分だと思うのですが、中々考えさせられる内容です。
その他、有吉が竜平会に入り込むためにやった上島と肥後のニーズにあわせた作戦も必見です。特に破天荒な芸人を好む肥後の心をつかむために行った作戦はサラリーマンの鑑ともいえるかもしれません。
タイトルはタレント本ですが、変なビジネス書よりもよっぽどためになる一冊でした。
ただし、電車の中では笑って読めないのと、会社で読むと遊んでいるように思われるので注意が必要ですが。
3月に読んだ「大きな約束」の続編です。
2007年の後半から2008年の前半にかけての椎名誠さんの日常を描いた私小説。本作では、大量の現行の締め切りに追われつつ、国内を旅した様子が描かれ、またその折々に息子「岳」を中心とした過去の回想がカットインされます。
基本的には前作同様、あわただしい生活を送っているわけですが、そんな中、ひとつ変化が起きることになります。それは、息子家族の帰国が決まったこと。
それに伴い、椎名さんの生活も少し変化を見せます。
人間ドックに行ったり、テレビのドキュメンタリーに出演したりという出来事もそうですが、冒頭で若者と喧嘩をしていた前作に比べ、文章全体からある種の「エネルギー」が感じ取れます。
そして、そのエネルギーは、あとがきに書かれている以下の言葉に象徴されます。
「大きな約束」は、いつだって、誰だって、一番大切なことは、生きていくこと
本書は、成田空港に一家を迎えに行き、孫と再会したシーンで終わることとなりますが、今後、孫と交えた三世代での物語で、「じいじい」椎名誠はどのような形で約束を果たしていくのか、楽しみにさせられました。
映画サービスデーを利用し、バルト9に「おっぱいバレー」を見に行ってきました。金曜日の夜、バルト9で見る映画はあの映画以来。スクリーンは200席もないシアター7でしたが満席で、あきらかにあの映画よりも入っていました。
ストーリーは、「頑張れ!ベアーズ」や「マイティダックス」シリーズと同じようなものです。落ちこぼれのバレーボールチームが熱血教師の指導の下、力を合わせ勝利を勝ち取るといったありきたりと言えば、ありきたりなストーリーです。
また、ストーリー展開も王道と言えば王道。ベタベタな展開が続き、予想を裏切られる要素もほぼありません。
ただ、本作について言えば、頑張る目的が「綾瀬はるか演じる先生のおっぱいを見る」という思春期の中学生の欲望を丸出しにしたものであり、基本的にただの「エロ中学生」であることで、王道のストーリーのギャップが生まれ、観る側をひきつけます。
怖いOBに殴られている後輩を助けるのも「先生のおっぱいを見るため」、苦しい練習を耐えるのも「先生のおっぱいを見るため」、彼らの行動原理は常にシンプルです。(そもそも最初のシーンから、高速で自転車を走らせながら手をかざしたときの感触がおっぱいの感触に似ているという実験をしている所で、「バカだなー」と苦笑させられます。)
中でも個人的に好きだったのは一回戦を不戦勝した後のロッカールームでのシーン。一回勝ったらおっぱいを見せるという約束の下、「不戦勝も勝ちは勝ち」と先生に迫る生徒と、それを避けようとする先生のやり取りはにやりとさせられます。
その他のシーンもベタベタな展開が続きますが、脚本の岡田惠和さんも監督の羽住英一郎さんも数々のテレビドラマや映画でヒット作を生み出してきた二人だけあり、非常にいいバランスでストーリーが進み、観る側はあきることなく楽しめます。
1979年前後のヒット曲が随所につかわれているのもいいです。ルージュの伝言、ウイスキー・コーク、ヒーローといった数々の楽曲が少しノスタルジックな風景と非常にマッチしており、この挿入歌をあつめたサウンドトラックとかあれば欲しいと思う程でした。
オチもまあ予想通りでしたが(もちろん、おっぱいを見ることができません)、最後までエロ中学生でいてくれてみる側としては満足のいく内容でした。
レッドクリフのような大作感はないですが、「ああ、いい時間を過ごせたなあ」と思える楽しい映画でした。