2009年1月アーカイブ

 ハーバード・ビジネス・レビューの今月号のテーマは「人を動かすリーダーシップ」。その中で表題の記事が現在の職務とも関係があり、非常に面白かったです。

 本稿では、まず、新任マネージャーの行動を

  • 組織になじむ
  • 内部を把握する
  • 組織を新しいものに作り変える
  • 取り組みを総括する
  • 更なる改善に取り組む

 という5ステップに分類し、その上で成功・失敗の可能性をわける要因を

  • 過去の経験
  • 担当職務における建て直しの必要性
  • マネジメントスタイル
  • 個人的なニーズ
  • キーパーソンとなる上司や部下との関係
  • 上司のマネジメントスタイルと自身のマネジメントスタイルとの整合性

 といった内容に分類しております。

 中でも、興味深かった点をいくつかピックアップすると、以下のようなことがあげられます。

  • 成功する新任マネージャーは、まず、自らの経験がある分野から変革する。理由としては、信頼の確立を確実なものとするためだが、みずからが外部から来た人間の場合は、しかるべき学習をするまでは大きな改革には着するべきではない。
  • 事業を立て直す場合は、組織になじむ段階でよく多くの時間を費やしている。また、施策を2段階(応急処置、抜本改革)と分けて考える。大きな方向性を定めた上で、その方向性の中で修正を行う前提で仕事を行う。

  自分自身の仕事としては、3-6ヶ月の間でStep2までを行い、後は投資先の担当者が行うのをフォローするという形であり、純粋な新任マネージャーとは立場が違うのですが、ちょうど投資先の改善計画に着手する段階ということもあり、非常に考えさせられることが多い記事でした。

 

 今週のガイアの夜明けは「技術」と「ベンチャー」の話。

 一番心にきたのは、投資担当者が他の投資担当者に手厳しくやられている所。まさに、どこかで見たことのある話、としかいいようがありません。四方から指摘事項が飛んできてコテンパンにされるのは、どこも同じです。

 で、今回の放送を見て思うのは、投資を受ける側も投資家サイドの話を聞かなければいけないということ。どうしてもベンチャー系の話は「リスクマネーをはらなければ、(日本としても)将来はない」というスタンスになりがちです。

 ただ、一方で、ベンチャーの経営者サイドも数多くの企業の事業を見てきている投資サイドの知見を活用しなければいけない、という点があると個人的には思っています。思い入れや自信があるのはいいのですが、過信をせず、議論し、上手く他人の意見をきく能力が今後、ベンチャーサイドには求められていくと考えています。(ベンチャー経営者自体が基本的にワンマンな性格を持っているということは別として、個人的には、経営者がこちらサイドの意見を聞くかどうかを見極めることが投資の条件になると考えてます。)

 ちなみに、経営者に聞いてもらうべき意見は、実は投資家サイドの意見ではない、と思っています。むしろ、「社内の二列目からあがってくる声」が大事だと思っています。経営陣の下でハブとなる役割をしている人間が大体の会社にはおり、彼が会社について思っているあるべき論を上手く翻訳し、経営者とミーティングを持つことが投資家サイドにとっては重要なことであると、自信の経験からは感じています。

 つまり、社内の人間からは言いにくいことに対する通訳を投資家が行うということです。

 もっとも、このあたりの手法はバイアウト投資的な手法であり、手間がかかるところがありますので、今回のガイアの夜明けに登場してきたような3-4年の投資期間(*1)で3,000万円から5,000万円を投資(*2)し、7倍から10倍のROIを狙う「一発勝負」には当てはまらない可能性が高いのですが。

*1 TVにでていたIRRから逆算。

*2 投資決定先の資本金、資本準備金の増加額から投資額は推定

 ただ、株式市場が低迷し、IPOしても十分なリターンが見込めなくなってくる可能性がある情勢を考えると、VCにもバイアウト的な手法が求められると思うというのが、個人的には間違いない傾向と思っております。

 そのあたりが変わると、ベンチャーに流れるお金の流れも変わってくるでしょう。

 

 年末からあわただしく過ごしてきたPJが一つの節目を向かえ、時間ができたので少し時間を読書に振り向けることに。

 という所で、「松下幸之助 夢を育てる」「本田宗一郎 夢を力に」の二冊を読了。

 いずれの本も日経新聞に連載されている「私の履歴書」とその後の歩みをベースにした本でしたが、個人的な学習テーマとして、「昭和(戦後)を知る」を設定している身として非常に考えさせられる本でした。

 両名とも戦前生まれで、小僧としての下積みを経、戦後に大きく頭角を現した経営者、しかも技術をベースに持つ経営者であるだけでなく、企業と社会との関わり方を非常に重要視しております。

 この企業と社会とのあり方は就職前に渋沢栄一さんのことを知り、学ぶ中で常に頭の中で考えるようになったテーマだけに、どちらの経営者の考えも受け入れられやすいものでした。

 その中でも個人的には本田宗一郎さんの方がツボにはまりました。

 特に、彼が残した以下の2つの言葉が非常にしみるものでした。

 まず一つ目は、1973年、自身の退陣の挨拶で述べられた言葉。

ホンダとは、夢と若さを持ち、理論と時間とアイデアを尊重する会社だ。

とくに若さとは

困難に立ち向かう意欲

枠にとらわれずに

新しい価値を生む知恵

 そして、もう一つは1962年の言葉。

 現状を正確に判断し、将来の見通しをガッチリと立て、自分のスタミナを適正に配分することが大事だ。そのためには学問も必要だろうし、豊かな見識もいるだろう。経験の知恵も必要だ。勇気も決断力も、そして忍耐力もなくてはならない。

 これらに目を向けず、むやみと先を急ぐことが『若さ』でもなければ、未来に生きる姿勢でもないと思う。

 歴史は、現代を支え、未来を組み立てる。歴史を否定して、現在は理解できないのだ。未来の方向に正しく向くには、歴史を背景に持たなければならない。

 技術者として、経営者として、そして人としてのバランス感覚と洞察の深さを感じさせられる言葉だとしみじみと考えさせられると同時に、本田さんを経営面で支えた藤沢武夫さんについても学んでみたくなりました。

 ちょうど、プレジデントの2009.2.2号の「勝ち残る人が読む本 落ちる人の本」で紹介された本を何冊か注文(一部はAmazonのウィッシュリストに登録)したばかりですが、何冊か彼らに関する本を追加で読んでみようと思います。(プレジデントで気になった本については別エントリーで記すこととします。・・・古巣の社長が紹介した本は注文しませんでしたが。)

 

        

 クレイジーワークス総裁日記の以下のエントリーを見て少し思ったことを。

就職活動をする人に送る、独断と偏見と経験による超大企業と超未上場ベンチャー企業の違い

 大企業もベンチャー企業も、そしてベンチャー企業に投資する側も経験している立場から見てもかなり頷ける部分がありました。その上で、何点か。

 まず、書かれていない大企業の特徴として

  • 教育制度が充実しているため社会人としての基礎知識、教養は自然と身につきます。

 ということがあると考えてます。ベンチャー企業にいようとも仕事上大企業とお付き合いする機会はかなりあるので、このスキルが見につくことは大きいメリットです。どうしてもOJTがメインとなるベンチャー企業では意外に身につかないスキルです。

 もう一つ大企業で言えるとすると

  • 社内だけでも大勢の人間に出会うので、物事への対処法の引き出しが増えます。

 ということがあると思います。ベンチャーに比べ悪い点でもあるのですが、大企業の意思決定プロセスは利害関係を含め複雑になっています。その中で、様々な部署とやりあって対処法の引き出しを増やすと、物事の段取り力が間違いなくあがります。

 一方のベンチャー企業ですが、こちらについては、一点の反対意見があります。

  • びっくりするくらい、ものすごく簡単にあなたの会社がつぶれるということは「ない」です。

 これはベンチャー投資に携わって実感したことです。理由はシンプルで、そもそもお金を貸してもらえないから。ネッベンチャーのような固定資産を必要とせず、大きな借り入れをしてしないベンチャーは、資金が尽きてきたら人を減らして、自宅のマンションとかにでもサーバをうつすなりをして固定費を極小化してしまえば(加え、多少の銀行借入については元本返済についてはリスケ交渉を粘り強く行うというのもあるでしょう)、会社が機能しなくなることはあっても「つぶれる」ことはほぼありません。もちろん、初期投資のために多額の借り入れをしているような場合は上記にはあてはまりません。ベンチャー投資サイドから相当数の資金繰りが苦しく、投資できそうにない企業を見てきましたが、驚くくらいなんとか生き残っているものです。

 

 最後に結論として言えるのは、それぞれの立場を経験しておくことは意味があるということ。特にベンチャー企業サイドに立ったときに大企業にいた利点がわかります。武道の型ではないですが、形式的なやり方を知っている人間がショートカットを覚えることはできても、逆は難しいでしょう。

追記(2009.1.8 23:00)

 トラックバックを受け、元エントリーが

  • びっくりするくらい、ものすごく簡単にあなたの会社がジリ貧になったりします。

 に変わってました。言いえて妙だなあと思わず頷いてしまわざるを得ませんでした。改めて面白い人だなあと感心。

 このブログのアクセス元の8割以上が検索エンジンで、実に2008年で4000種類以上のキーワードから検索されています。今回は、そんな2008年の検索ワードを調べてみました。

 ベスト5は以下の検索キーワード(カッコ内はセッション数)

1位:「ゴールデンスランバー 書評」(236)

2位:「iphone デコメ」(140)

3位:「デコメールテンプレート作成ツール 」(96)

4位:「branco エラー 」(84)

5位:「sh906i」(74)

 3位のデコメールテンプレート作成ツール意外は、2008年だからこその検索キーワード。

 個人的に印象深いのは4位にあるbrancoでしょうか?PC向けのIPマルチキャストということで個人的には楽しみにしていたのですが、利便性とコンテンツの差別化という点で厳しかったのでしょう、一年たたないうちの撤退になりました。(このキーワードで検索すると一時は公式サイトの次に表示されていたのが懐かしい話ですが)

 ちなみに、3位の「デコメール作成ツール」は前職時代に書いたエントリーですが、他のキーワードからの流入を含めると、いまだに一番PVがいいエントリーです。デコメアニメが利用できる端末の普及がどこまで進んでいるかはわかりませんが、少なくとも現時点でも携帯メールにおけるコミュニケーションツールとしてデコメが利用されていることが伺えます。(2位のキーワードもデコメ絡みと考えると、デコメはやはり影響力が大きいのかもしれません。もっとも、独特の仕様のために作成が面倒な一方、モバイルに目を向けた技術系ブログが少ないから検索されているだけかもしれませんが。)

 次に少数の検索キーワードで気になったものをいくつか。

  • 「bass 目立ちたがり」
  • 「やられたがり」
  • 「山本高広 前職」
  • 「所得格差 わかりやすい具体例」
  • 「締めの挨拶 事業計画 何を言え」

 気になる人は検索してみて下さい。自分も知りたいことばかりです。

 今日から仕事始めという所で、今年の抱負を。

 今の会社に転職し、ほぼ一年がたつわけですが、去年は私の社会人生活で間違いなく一番濃厚な一年をすごさせてもらいました。

 特に投資先において半常駐しての経営支援をおこなっていることが非常にいい経験になっております。

 とりわけ、前職で感じていた、投資先との融合は「ミドルクラス」との融合が大事ではないかという問題意識を自分なりに消化できていると感じており、また、支援先の経営状態も上向いていることから、かなり手ごたえを感じております。

 なので、今年の目標に関しては、まず上半期において、この経営支援に関するスキルを磨いていきたいと思います。特に、一段上のステップとして、自らが主担当として投資を実行する予定の案件において、経営者とのリレーションシップを通じ、ミドル層を巻き込んだ経営支援に取り組む方法論を考えていければと思っております。

 その上で、新規案件を発掘し、下半期に一社、主担当者として投資を実行できればと考えております。

 この厳しい経済情勢こそ、バイアウト投資を行うプライベート・エクイティにとって存在意義を問われる時期なのは間違いないところ。この一年を通じ感じている手ごたえを手ごたえをより実態のあるものとできるよう、気を引き締めて臨みたいと思います。

 

 年末から1月2日まで間に以下の5タイトル6冊の本を読みました。

  • 白州次郎(上)(下)
  • デューデリジェンスのプロが教える企業分析力養成講座
  • ジョブズ VS 松下幸之助
  • TENGU
  • 趣都の誕生 萌える都市アキハバラ
  •  

     この中で一番面白かったのは、TENGU。本作は若手時代に遭遇した群馬県で26年前に発生した連続殺人事件の真相をベテラン記者が調べるというサスペンス。現在と事件当時をカットバック形式で描写し、真相に迫っていくというストーリーですが、謎の生物であるTENGUの正体が気になって仕方がない一作です。個人的に想像してたTENGUとは異なっておりましたが、十二分に楽しめました。著者の違う作品も是非読んでみようと思います。

     次に良かったのは、「デューデリジェンスのプロが教える企業分析力養成講座」。本作については利用されているフレームワークが面白く、実務に使えるかもしれない印象を受けたのがその理由。アドバイザリーとしての豊富な経験に裏づけされたフレームワークはなるほどと思わされます。これについては、別途エントリーにてまとめようと思います。

     一方残念な内容だったのは「白州次郎」と「ジョブス VS 松下幸之助」の2タイトル。

     前者については、題材である白州次郎についてではなく、書籍としての出来が残念でした。具体的には、著者の視点が一定になっていない上、著者の一方的な感想や知識の押し付けが垣間見られる所が見られていたこと、なかでも、後者が読み手にとって鼻につく印象でした。

     個人的に伝記や評伝に大切なのは「客観的な事実の積み上げ」であり、その積み上げを通じ主人公の業績なり人柄を示していくべきだと思っております。(もちろん、大前提として「丁寧な情報収集」が必要ですが。)

     それに対し、「格好いい男だ」といった記述を随所に見せることで、主人公をアピールする本書の構成に首を傾げてしまいました。(Amazonを見ると同様の感想を思った方も数名いるようですが。)

     ただ、第二次大戦後の復興における大役を担った「信念の人」の人生模様については興味がわきましたので、他の書籍を通じて知識を習得したいと思います。

     後者については、松下幸之助さんに関する本を読んだことがないなあと思って購入したのですが、一言で言うと、「内容が薄い」という印象です。別途、松下さんに関する本は購入しなければいけないなあと思いましたが、ジョブスの部分については、既に他の書籍で得ている知識以上のものはないというのが正直なところ。始めからそれぞれの人についての本を読めば十分です。

     ただ、どちらの本も他に読む本のテーマが見つかったという点では悪くなかったかもしれません。

     

     既に年は明けてしまってますが、映画についても少し考えてみることにします。

    2008年はなんだかんだで、10本ほど映画館で映画を見てきました。

    2月

    チーム・バチスタの栄光

    3月

    ガチ☆ボーイ

    4月

    クローバーフィールド/HAKAISHA

    6月

    ザ・マジックアワー

    7月

    純喫茶磯辺

    8月

    崖の上のポニョ

    デトロイト・メタル・シティ

    9月

    幸せの1ページ

    10月

    容疑者Xの献身

    少年メリケンサック

    11月

    レッドクリフ

     やはりというか、邦画が中心であり、東宝作品が半数以上をしめております。また、世の中が不況に向かう後半以降に見るペースが増えている気がします。このあたりは、不思議と世の中の流れに沿ってるのかもしれません。

     ただ、さすがにテレビドラマの延長線にある映画は少し飽きてきた気がしますので、今年は洋画に少しシフトしようかとも思います。

     2008年は過去に比べ、マンガの購入数が格段に増えました。

    実際、2008年12月に発売された「このマンガがすごい!」のベスト20を見ると7作品(*1)を購入してました。

    *1 具体的には

    • 聖☆おにいさん
    • 宇宙兄弟
    • GIANT KILLING
    • よつばと!
    • ハチワンダイバー
    • デトロイト・メタル・シティ
    • とめはねっ

    の7作品。

     中でも、宇宙兄弟が本当に面白いです。まだ4巻しか出てないのですが、昨年連載を終了したBECKと似た印象をうけます。GIANT KILLINGにも共通するかもしれませんが、最近の講談社にのコミックにはストーリーにスケール感のある作品がでてきている印象を受けます。元々、三大出版社のうちで一番文芸色が強いからかもしれませんが、このストーリー構築力は「大人のマンガ市場」で武器になるような気がしています。(直近の決算の数字は非常に厳しいものでしたが、おそらくコミック事業のセグメントの状況自体は悪くないのではと考えております。)

     ちなみに今年人気が出そうだと思っているのは「百舌谷さん逆上する」です。まだ今月に2巻が発売される位のペースですが、何回も読み返したくなる破壊力を持った一冊です。あと、もう一冊オススメの「まつりスペシャル」もまだ2巻までしか刊行されてませんが、こちらはドラマ化しそうな予感がします。どちらもオススメなので、是非ご一読下さい。

     

             

    Profile

    HN:decchy
    大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
    現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

    音楽・読書を中心としたPrivateのブログはこちら

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