書評:新・都市論TOKYO/隅研吾・清野由美
六本木ヒルズのアカデミーヒルズや東京ミッドタウンのサントリー美術館等、国内外の建築物に携わる建築家、隈研吾と年は衣鉢などに造詣が深いジャーナリスト、清野由美による共著。章ごとに都市がひとつ選定され、章の前半は隈さんによるテーマとなる街の開発にまつわる背景や、関連する都市論についての解説となっており、後半は両名が街を実際に訪れながら対談するという形式になっております。
本書で取り上げた街は、汐留・丸の内・六本木ヒルズ・代官山・町田・北京といった顔ぶれ。大きく3つに分類すると、近年再開発をされたという街である汐留~代官山を取り上げた第一部、都市開発と旧来からの交易の拠点が不思議に同居している街の形として取り上げられた第二部の町田、国内にはないダイナミズムをもつ題材である北京について述べられている第三部という形に分類されます。
正直、第三部の北京については、実際に足を踏み入れたことがなく想像ができないので、評価ができないところです。
ただ、他の国内の町については非常に勉強になります。前半の4都市に関する部分では、開発主体の違いが街の形成にどのように影響を与えているかについてわかりやすく延べられております。
具体的には汐留が各エリアごとに分譲されたのに対し、丸の内は三菱が旧来から開発していたエリアであったということであったり、六本木ヒルズは森ビルが数十年かけて作り上げた執念の地だというのに対し、代官山は旧来からの地主である朝倉家と建築家槇文彦によって長い期間をかけて作られてきた街であるということなのですが、これらの情報を知ると街歩きが一層楽しくなる印象を受けました。
また、第二部の町田の特異性は読み物として面白いです。作られたベッドタウンとして街と旧来からの交易地としての街が交差する中で形成された町田の独自性は、隅さんが非常に面白がっているのですが、確かに、と思わされます。第一部とは違って意味で一度観察してみたくなります。
そこで思うのは、本の中に実際に二人が歩いたルートの地図が欲しいということ。第一部の4つの街は自分なりに位置関係なども想像できるのですが、やはり実際に二人のルートを地図で図示されていると想像力がよりかきたてられる気がしました。
とはいえ、街をフラフラ歩くのが好きな人間にとっては十分に満足できる一冊でした。
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