2008年5月アーカイブ

 品川駅の中にある本屋(BOOK EXPRESS )にて大量に陳列されていたので購入した一冊。

 本書では、「質問力」「仮説力」「本質力」「シナリオ力」の3つに分解し、それぞれ

  • 「仮説力」=短時間で相手の気づきを生み出す能力
  • 「本質力」=問題の真因を引き出す能力
  • 「シナリオ力」=ゴールに向かって質問を進める能力

 と定義付けます。その上で、各章においてそれぞれの力を高めるためのノウハウが書かれております。

 一通り読んだ結論としては、総論も各論も非常に正しいことを言っていると思いますし、共感させられる部分は多いけれども、一冊の本としての骨太の説得力には少々難ありという印象です。

 具体的に気になったのは以下の二点。

 一つ目は、3つの「力」についての定義づけや分類が曖昧になっていること。仮説力や本質力の章において「この内容はシナリオ力では?」という内容があったり、「仮説力と本質力の内容が入り混じっているのでは?」という内容があったりしております。もちろん、三位一体となってこその能力なのはわかりますが、どうも全体としてのストーリーが上手く言っていない印象を受けました。元々は、各章ごとに完結した文章として構成していたのかもしれませんが、気になる点ではあります。

 二つ目は、項目ごとの説得力のレベルにバラつきが見られたこと。本書では各項目ごとに具体例が述べられているのですが、具体例が「コンサルティング業務における経験」「日常生活における経験」「一般論」「引用」といった形でバラつきがあります。そのため、「読者を説得できるだけの論理構成や経験、自信がない部分(=ゴマカシ)があるのでは?」と感じさせられ、本質がぼかかされてしまっている印象を受けてしまいました。

 とはいえ、一つ一つ個別の内容としてはもっともな内容なので、

  1. 目次と気になる項目だけを流し読みする
  2. オフィスに保管しておく
  3. 実際に商談、会議、ヒアリング等に臨む際の参考資料として、都度参考にする

といった形で活用するのが一番いいのではないでしょうか?

 

 二日連続でITmedia関連記事です。

“地域密着ラジオ”をネット同時配信 JASRACなどと交渉成立

 コミュニティーFMの連合体によるラジオのインターネット配信についてのニュースですが、勉強になります。具体的には本文で、以下のように書かれている課題をクリアしたこと。

 ラジオ放送をネット配信する際に、大きな課題が2つある。(1)番組で流れている楽曲について、ネット配信用の著作権処理が必要、(2)システム構築の費用負担や運用の負担が大きい――という点だ。

 個人的にビジネスにおいてJASRACのネットワーク課と交渉した経験もありますし、配信関連のシステムや通信会社で営業をしていたこともあるので上記の2つの課題についてはそれなりに対応方法も知っております。

 対応方法といっても、(1)についてはルールに基づいて誠実に交渉をすること(彼らのルールに納得できるできないはと言うのは別です。実際に話をするといい人たちです。)、(2)については、多少の安定性は犠牲にしつつも配信にあたって一番のコストとなる回線費用を安価なベストエフォート回線を使うことでカバーする、というあまりひねりのないものです。(P2Pという解決策もあるかもしれませんが、独自接続1000人程度のラジオであれば・・・という気がします。)

 ただ、特に(2)に関しては結構問題になる場面があります。それは安定性。

 旧来の放送に比する安定性を求めようとすると難しいと思うのですが、インターネットで聞いているリスナーはWeb等で安定性や時報に対しての注意をすることで十分対応できる気が正直な所しております。

 そういった意味で、既存のFM局やAM局がどこまでの判断をできるかはわかりませんが、この動きは一つの試金石になるのではないでしょうか?今後の展開が楽しみです。

 仕事柄、コンテンツ産業をどのように盛り上げていくかは常にウォッチしていることもあり(むしろ、それが仕事なわけですが)今月末に東大で開かれるキャラビズ研究プロジェクトのキックオフとなるスペシャルレクチャーに参加することにしました。

 『キャラクターライセンシングビジネスの挑戦:~キャラビズにイノベーションは起きるか?~』と銘打たれたこのレクチャーに対し、個人的に2つのことを考えられればと思っております。

 一つ目は、キャラクタービジネスにおけるイノベーションとは?という個人的な疑問に対してのヒント。

 個人的には、キャラクタービジネスの発展は、イノベーションよりもシチュエーションやエモーションによってもたらされると思っているのですが、それに対し、他の人がどう考えているのかを知りたいと思っております。

 そもそもイノベーションと定義付けたくない理由は、言葉の定義があいまいで本質がぼやけてしまうと考えているからです。

 例えば、「ケータイストラップによるキャラクタービジネス市場の拡大」をイノベーションと呼ぶかといった問題がそこにはあります。携帯電話という新しいデバイスの出現に伴い、新しく開発されたという意味ではイノベーションと位置づけられるのでしょうが、キーホルダーや江戸時代の根付(*1)が変化したものと考えると、イノベーションとは考えにくいと思います。

 その他、メーカー主導型からWeb2.0的なユーザー主導型になることがイノベーションなのかと言われても難しい所で、個人的には「イノベーション」という表現の定義について腑に落ちるヒントを得られればと思っております。

 その上で、もう一つ本講座で期待しているのは、生々しい話からビジネス展開の進め方についての手がかりをを得られるかということ。

 特に「グローバルを目指す」「キャラクターの世界観を理解する」「ユーザの声に耳を傾ける」といった当たり前のことではなく、エッジの利いた具体的ななにかを聞き逃さないようにしたいと思います。

 もっとも、講座に参加することもそうですが、社会人になって以来始めて本郷キャンパスに入ること(*2)にもワクワクしてしまっております。

*1 ギャラリーフェイク(小学館)の第5巻を参照下さい。

*2 昨年通っていた科学技術インタープリター養成プログラム社会人講座駒場キャンパスでの講義だったもので。

 ITmediaを見ていたら気になる記事を発見。

ひとりで作るネットサービス:【番外編】学生時代の開発チーム3人が再集結――撮った画像がスライドショーになる「Smillie!」

 メインで登場している閑歳さんとは、前職時代に一緒に仕事をさせていただいたことがあります。その時は製品企画部のマネージャーをされており(そういえば自分も製品企画担当のマネージャーでした・・・ちなみに笠谷さんにも一度お会いして、名刺交換と技術の紹介をさせていただきました。)、自社のサービスを先方のサービスのモジュールとして組み込んでもらう話をしておりました。

 初対面の際に意外な自己紹介をされて驚かされたり(旦那さまと前職で打合せをさせていただいた経験があるという話。ちなみに「旦那が●●(会社名)」と一言で表現したのが妙に印象に残っています。)、先方のオフィスでWindows 2003 Serverの設定をしたりといった記憶があります。

 ビジネスであまり上手くお金にできなかったことは申し訳なかったのですが、仕事をしていて面白い人だった記憶がありますが、こんな人だったとはと驚かされました。

 また、本文を読みすすめたり、サービスをググッたりした所、2007年の年末に会社を辞める決心をしたことや、ブログを拝見するに同級生だったことといった共通点もわかり、一層驚かされました。

 肝心のSmillie! については、飲み会や夏フェスの会場とかで使ってみたら面白そうだなあという印象を受けました。ちょうどHPのHP 2133 Mini-Note PCの購入を検討していたので、PCを持参しつつ、試してみたいと思います。

 「リストラ請負会社」日本ヒューマンリアクト株式会社に勤務する村上真介を主人公とした連作小説集。

 建材メーカー、おもちゃメーカー、大型合併後の都市銀行といった会社に派遣された村上は、各社ごとの人員削減目標値を達成するため、面接を通じ、論理的に「自主退職」に向けた説得を対象者に対し行います。しかし、それぞれの境遇を持つ各リストラ対象者は、部外者である村上の説得に対してはスンナリとは応じません。

 その中で、村上はデータや感情論など、対象者のツボをおさえようとする手法を用いることで、「成果」を挙げようとし、そのプロセスがメインストーリーで展開され、途中で、村上自身の「首切り屋」としての有能さを裏付けるエピソードとして、村上自身がもつ2度のリストラ経験をもつことが描かれていきます。

 本書のいい点は、読後感のよさ。ストーリーは比較的わかりやすいです。悪く言えばステレオタイプ的とも言えるかもしれません。ただ、「魅力的なキャラクター」「キャラクターをいかしたストーリー」「読後感の良さ(ハッピーエンドであるということではなく)」といったものを小説を読む際に求めている自分にとっては、非常に読みやすく満足のいく一作でした。

 題材が題材だけに通勤電車の中で読むのはあまりオススメできませんが、さらっと読める小説を読みたいような場合にオススメできる一冊です。

 東京カリ~番長の調理主任である著者がカレーライスについて真面目に語る一冊です。前職でカリ~番長の「裏番」と仲良くさせていただいた縁もあり、購入しました。

 東京カリ~番長ならではの軽いテンションの本かと思って購入したのですが、予想と違い真面目にカレーライス論について書かれております。

  • はじめに
  • 第1章 カレーライスの正体
  • 第2章 カレーライスの歴史
  • 第3章 カレーライスの革命~国民食への歩み~
  • 第4章 カレールウの謎
  • 第5章 カレーライスの正体
  • おわりに

 という目次になっておりますが、個人的に興味深かったのは「カレールウ」に焦点をあてた第3章、カレーライスの革命。

 本書では、「カレールウ」が日本の食卓にカレーを定着させたと主張されているのですが、本章ではその主張を裏付けるように、カレールウの発展が果たした役割について書かれております。

 また、このカレールウの発展の過程は、マーケティングの教科書としても勉強になります。

 従来大人向けの食事だったカレーを子供向け市場に展開させた「バーモンドカレー」、子供向けとの対抗軸としての大人向け・高級路線の「ゴールデンカレー」といった話や、「辛い」か「甘い」といったスパイシー二元論に対し、「コク」という軸を作り出した「熟カレー」等、カレールウの市場の変遷は非常に面白いです。

 と同時に、最近は外食でしかカレーを食べていなかったことに気がつかされ、思わず家でカレーライスを作りたくなってしまいました。カレー好きなら読んでおいて損はない一冊です。ただし、レシピはついておりませんので、その点はご留意下さい。

 

 バチスタスキャンダルから一年半後(*)を描いた、チームバチスタシリーズのスピンオフ作品です。

 時期的には、、第二作「ナイチンゲールの沈黙」第三作「ジャネラル・ルージュの凱旋」よりも遅いのですが、刊行時期は第二作と第三作の間となっております。(読む順番としては、時系列順で構わないと思います。)

 舞台は東城大学付属病院ではなく、碧翠院桜宮病院。ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、終末期医療における新しいモデルとマスコミに取り上げられる一方、黒い噂が絶えない病院です。

 主人公は、落第を繰り返しドロップアウト寸前の医大生天馬大吉。幼馴染の新聞記者葉子から病院への潜入を依頼された天馬は、気乗りがしないのですが、イカサマ麻雀によりつくらされた借金の代償もあり、桜宮病院にボランティアとして専修することになります。

 建物の形状から"でんでん虫"と呼ばれる碧翠院桜宮病院は、入院患者が入院費用の対価を労働で支払うという新しい経済モデルです。その病院のシステムや内情を調べるうちに天馬はある事実に気がつきます。それは「あまりに人が死にすぎる」ということ。

 途中、看護士として潜入していた姫宮の手によりボランティアから患者へと立場を変化させられた天馬は、病院の医師一家や型破りな皮膚科医の白鳥と話をすることで、実際に病院で何が起きているかを理解します。

 そして、患者が減っていく中、天馬の身に異変が起き、物語はクライマックスへと向かっていき、天馬は彼自身の因縁も知ることとなります。

 本作は、良くも悪くも、他の作品に比べ、医学的な専門性が薄れ、ミステリー色が強い印象。また、ロジカルモンスターとしての白鳥のパワーが他の作品に比べ弱く、多少の物足りなさを覚えます。

 また、様々な伏線があり、うまいと思わされるところは確かに存在します。ただ、中で、ストーリーの根底にある東城大学付属病院と碧翠院桜宮病院との因縁が個人的にはよくわからなかった所です。その点も個人的には割り引きたいところではあります。

 そういった点で、個人的評価としては、チームバチスタシリーズとしては少し落ちるといった所でしょうか。不可はないのですが、「すごかった!」とも言い切れない作品でした。

 チームバチスタシリーズのスピンオフ作品、舞台はおよそ20年前の東城大学医学部付属病院で、主人公は高階「現」病院長。

 本作の語り手は大学病院の外科に配属された研修医の世良で、物語は高階病院長が講師ととして赴任されてきた所から始まります。ストーリーは大き(1)研修医世良の成長 (2)病院内の権力闘争にわけられます。

 世良は、食道癌の権威である東城大学の佐伯教授の下で"新兵器"を導入し反発を受ける高階に指導を受けつつ、腕は一級品だが人格破綻を起こしているハグレ外科医渡海や、面倒見がいい先輩医師垣谷に影響を受けます。途中、医療ミスにより患者を死に至らしめそうになったりしながらも、医師として成長していきます。

 一方、佐伯教授は病院長になるために、高階を活用します。高階による新兵器の導入を認めた理由の裏側にも権力闘争があり、権威のある学会で新兵器の成果を発表することで、教授は病院長選挙の勝利を確実なものとしようとします。

 その裏で渡海は、佐伯の留守を狙い、過去の佐伯教授の手術ミスを高階に指摘し、教授を出し抜き、父親の恨みを晴らそうとするのですが・・・。

 途中、チームバチスタでおなじみのの同級生トリオ(田口、速見、島津)や現役バリバリの藤原看護士がでてくるなど、バチスタシリーズファンにとってはたまらない部分が存在します。

 もっとも、上記の点は良し悪しで、第二・三作との間で矛盾が生じているのでは?と思わされることがいくつかでてきてしまっております。(こじつけすぎなところはありますが、バタフライシャドウや冴子のところなど)

 ただ、シリーズ間でのプチ矛盾(今後の作品でカバーされるかもしれない部分ですので、矛盾と言っていいのかわかりませんが、)本作においてもクライマックスにかけての緊張感は一級品で、ハラハラさせられながら、一気に読みすすめるパワーがあり、十分に楽しめました。

 人物を知るためにもバチスタシリーズを三作(※)とも読んでから読まれることをオススメします。

※それぞれの作品の書評は、以下のリンクからどうぞ。

 

 先日のナイチンゲールの沈黙に続く、チームバチスタシリーズ第三弾。時系列としてはナイチンゲールの沈黙と同じ時期、舞台は救急救急センター、主人公は救命センターを支配する将軍の速水(通称、「ジャネラル=ルージュ」)で、物語は、主に、前作の主人公浜田小夜の親友である"熱血看護士"如月翔子の視点から語られます。

 伝説の歌姫が入院されたと同じ時期、田口公平の元に一通の怪文書が届きます。それは速水が業者と癒着しているという内部告発文書です。病院長の高階の指示もあり、田口は大学時代からの同級生を告発する文書について対応をすることになります。

 ただ、調査は、田口及び、田口が委員長を務めるリスクマネジメント委員会に敵意を持つエシックス・コミュニティの沼田が介入し、思うように進みません。

 一方、救急救命センターでは、ドクター・ヘリの導入や病院経営についての速水と事務方の対決や、如月翔子の活躍を通じ、救急医療についての問題点が描かれていきます。

 そして、白鳥やもう一人の同級生である島津の助けもあり、田口は速水と対峙することとなり、クライマックスへと向かっていきます。

 本作は、公式サイトで「合わせ鏡」と書かれているように、同時期に、同じ病院で起きた出来事が描かれております。小児医療と救急医療、一見、関連性が薄いと思われる二つの分野ですが、「金食い虫」という部分では同じであり、あわせて読むことで、現在の医療体制の問題点が改めて浮き彫りになります。

 また、前作に比べ、チームバチスタの見所である登場人物同士の丁々発止のやり取りが充実しており、エンタテインメント性が増しており、スピード感にあふれています。

 ミステリー色が他の作品に比べ薄いことについては賛否両論あるのかもしれませんが、個人的には非常に楽しめた一冊でした。但し、前作のナイチンゲームの沈黙を読まないと楽しみは半減してしまうと思いますので、順番には気をつけたほうがよさそうですが。

 魔法のiらんどにて、「恋空」「赤い糸」等のケータイ小説をプロデュースしてきた著者による「ケータイ小説ビジネス」についての一冊。

 ケータイ小説が2006年、2007年度と文藝本のベストセラーの上位を占めていたのは知っていたのですが、実際に、どの位のビジネスインパクトがあったのか、ノウハウはあったのかということに興味があり購入しました。

 感想から言うと、「ケータイ小説」に関わる上での温度感はわかります。ただ、サブタイトル「新世代へのマーケティング術」に関してはあまり参考にならなかったなあという印象。

 理由は単純で、「マーケティング」についての独自のノウハウが語られていないからです。

 例えば、P121からの以下の表現。

「仕掛け」てはいけない世界が、いつのまにか「仕掛け」が先行してきている雰囲気が感じられて仕方がないのである。

 その他には、P125で述べられている以下の内容。

ケータイ上に落とし込まれた小説が、知らぬ間に広がって支持を得ていくプロセスというものをどう考えようか?これは、正直考えれば考えるほど、答えは迷宮の中へと入り込んでいく。このプロセスが解明できると、鬼に金棒なのだろうが、そう簡単なものではない。

 このような、マーケティングの概念を放棄しているように聞こえる内容が本書の随所に見受けられます。

 もちろん、それは真実なのでしょう。私自身、ビジネスの立場からコンテンツビジネスに足を踏み入れている人間でもあるので、この感覚と言うものは理解できます。ただ、大人がお金を出して買う本の内容でわざわざ言わないで欲しいと言うのが正直な印象です。

 ただ、だからといって読む価値がなかったかと言うと、必ずしもそうではないと思います。「携帯電話と人との距離感」や「作者と読者の距離感」が携帯電話ならではの表現空間とマッチしたというような安易な分析(※仮に自分がもっともらしくまとめるならという内容です)に走っていないだけでも好印象ですし、個別の具体例については面白いものもありました。

 P99-P105の「拡大するケータイ小説のメディアミックス」において書かれている、映画化に通じ恋空を知ったという大学生のエピソードやP139-P142の「流行のメカニズム」にある、休み時間に誰かが読んでいるのをきっかけにケータイ小説がみんなに「まわし読み」されるようになっていたことという記述などは非常に興味深い内容です。

 具体的な年表や流行の推移なども掲載されていますので、ケータイ小説についてざっくりと知りたいという場合にはいい本ではないでしょうか。

 1999年に出版された一冊。現在の株式会社東京ドームにおいて、ドームの開業当時から自主興行を統括してきた著者による興行ビジネス本です。

 今から20年前の1988年に利用が開始された東京ドームは、5万人を収容できる数少ないイベントの会場でしたが、維持費が1日2500万円もかかり、野球だけでは採算が成り立たないもので、収益源としての自主興行を拡大される必要がありました。

 その中で著者の二人はタッグを組み、ローリング・ストーンズの来日公演を皮切りに、音楽を中心に様々な海外のアーティストやスポーツのイベントの招聘を行うことになります。

 本書は、10年間の招聘活動にまつわるエピソード(成功談、失敗談交え)や興行の収支モデル、当時の興行ビジネスの構造等が描かれておりますが、具体的な数字も多く書かれており、非常に面白いです。

 その中でも、第四章第一節の「東京ドーム興行の収支モデル」はアーティストのギャランティの割合や。チケット・エージェンシーへのコミッション、ステージの設営・撤去経費まで詳細に書かれており、非常に面白い資料です。

 現在のコンテンツ市場は、コンテンツ自体はデジタル化の中でビジネスモデルの変化を迫られ、同時にコピーの影響もありビジネス規模が縮小している一方、ライブビジネス(及び付随するマーチャンダイジングビジネス)は拡大基調にあると思っており、重要性が高まっているのを感じています。

 反面、興行のビジネス面はは表に出ない部分もあり、分かりにくい所が相当あります。

 その点において、本書はいかにして興行ビジネスを成立させていったかを伺うこともでき、非常に参考になる一冊でした。

 先日のエントリーで宣言したBATICの勉強ですが、現在、公式テキストのPart1/2を読み終え、問題演習に入りました。次の目標は6月7日頃までに公式問題集を一通り終わらせることに設定しました。(次のステップとして一般の比較的難易度が高い問題集を取り組むといったあたりか。)

 現在の感触としては、簿記二級は取得していることと、仕事柄それなりに会計に触れていることがあるためか、思ったよりも会計的な部分には手ごたえを感じます。

 ただ、その反面。遠ざかっている英語に関しては、現状は不安が残る印象。もっとも、問題で使われる単語や表現は反復的に出現しているので、なんとかできそうな気はしています。

 というわけで、先ほど検定試験の申し込み登録をしました。どうなることやら。

 とにかく毎日勉強する癖だけはつけるようにします。

 

 職業柄、色々な会社の事業計画やビジネスモデルについてのプレゼンを聞くことがありますが、その時によく思うことがあります。

  • 正しい戦略をとっていると思うけれども、競合やリスクといった外的要因について考えられていない。
  • 対話をしないプレゼンテーションが多い。(相手の知識レベルを考えた上でプレゼンをしていない。)
  • ベンチャーキャピタルに何を期待しているかをはっきりとさせていない

 というのが主な所です。最後の点に関しては業界構造の問題もあると思いますが、前記2点についてはガッカリさせられることが結構あります。

 一番目の点については、自分の場合は基本的に事業計画通りいくとは思っていない前提で話を聞いているので、どうやってうまくいかせられるかという点や、リスクに対する対応策まで考えを示して欲しいと感じます。このあたりの情報があるのとないので、プレゼンの説得力が違います。(一番大事なものは「実行」なわけで、「実行」の見えないビジネスプランは説得力を持たないと思っています。)

 ただ、それ以上に問題なのは二番目の点。これは構造的な問題なのかもしれませんが、投資家は事業を知らない前提でプレゼンをする経営者の多いこと。これは話を聞いていて正直辛くなる事があります。事業会社出身という自分のバックグラウンドは別としても、投資家はそれなりに多くの会社の事業計画やビジネスモデルをみており、それなりに理解はできるので、もう少し相手の知識を確認した上でプレゼンをして欲しいと思うばかりです。

 もっとも、上記の課題は一般的なプレゼンの場としても当てはまることであり、また自分自身のプレゼンにおいても疑問符がつく場合もあるのですが・・・ただ、それにしても準備と対話の少ないプレゼンが多いと思う今日この頃です。

 チームバチスタの栄光シリーズの第二作目。舞台は東城大学医学部付属病院の小児科病棟。眼球に発生する癌「レティノブラストーマ」に犯され、眼球の摘出をしなければいけない二人の子供を担当する看護士の浜田小夜が今回の主人公。

 ストーリーは主に3つのステージにわけられます。

  • 眼球を摘出する2人についてのバックグラウンド及び、不定愁訴外来の受診
  • 2人のうち1人の父親が殺害された事件に関する捜査
  • 小夜の歌声が持つ不思議な能力についての検証

 ストーリーはというと、展開が安っぽいステレオタイプだなあというのが感想。(具体的に書くとネタバレになってしまう部分もありますが、白血病の美少女にまつわるエピソードとかは20年前の少女漫画にでてきそうなエピソードです。)チームバチスタに比べると正直、かなり劣っているというのが個人的な印象です。実際、Amazonのレビューの平均点を見ると、チームバチスタや第三弾のジェネラル・ルージュの凱旋に比べても低くなっているので、同様の印象を受けるのは自分だけではないと思います。(ジェネラル・ルージュはこれから読むところなので、個人的な評価はまだできませんが…)

 ただ、前作同様、厄介ごとに巻き込まれる田口や前作から登場している"ロジカル・モンスター"白鳥や藤原看護士、近作から登場した警察庁の警視正加納といった個性あふれるメンバーのやり取りは安心して読むことが出来ます。このあたりはシリーズ作品の素晴らしい所で、一定の満足感を得ることが出来ます。

 前作を含め、シリーズを楽しみたいという方にとってはオススメできる一冊です。

 日経新聞の広告で気になり購入した一冊。

 10年にわたりTOTO経営スクール(通称「社長塾」)の下でミドル層の変革を促してきた塾長による体験談とノウハウについてまとめられている本です。

 本書の随所でも現れているように、テイストは、ミスミの三枝匡さんが過去に出版されているV字回復の経営や戦略プロフェッショナルと非常に近しいです。

 ただ、クオリティは残念ながら三枝さんの本に比べると数段劣ります。前半、スクールが軌道にのるまでの苦闘は面白い部分もあるのですが、後半は自らと自らが立ち上げた経営スクールのメンバーがいかに従来の職能別組織のメンバーに比して優れていたかの自慢話に終始しているかを並べている印象を受け、三枝さんの本のような感情が奮い立たされるようなことは覚えることはありませんでした。むしろ負の感情が浮かぶ位です。

 その理由は大きく分けて2点。一点目は、FACTとLOGICが重要と繰り返し述べているのに対し、社長塾があげた実績についてはインタビューが中心であり、数値等の客観的なFACTが欠けていること。NDA等の問題により記載できないことは多いと思いますが、内容が主観的で偏っている印象を受けたため、著者の主張を客観的な事実として受け止めにくかったです。(例外はP133-134で書かれている「マンション・リモデル・プロジェクト」の具体例の部分です。話が具体的なだけにこの部分は説得力がありました。)

 もう一点は、大企業的な二元論に立脚して論を展開していること。社長・経営陣並びに社長塾で学んだ側の人間は正しく、その他の人間は劣っているという書き方が多すぎ、独善的な印象を受けます。例えば、P132にある記述。テーマ設定で著者と意見が合わなかった社長塾受講生に対するエピソードですが、以下のように書いてあります。

 

彼はこの後、北海道に出張した。そこで触れた大自然に彼は一時的な感情に走る自分の浅薄さを反省した。彼は私の提示したテーマへの取り組みを決めた。

 

 ドラマティックに書きたいのかもしれないですが、この書き方の時点で旧来から大企業にいる偉い人の発想だなあと思わされ、関係者の方には申し訳ないけど、本当の変革を成し遂げたのについても邪推してしまいました。と同時に、大企業における研修教材としてはいいかもしれないけれど、現実に危機が迫っている企業の経営の変革についてはどうなんだろうと考えてしまいました。

 本書を読むのであれば、三枝さんの本を何度も読み返すべきです。というわけで、書籍のリンクも三枝さんの書籍のみを紹介させていただきます。以前も書いておりますが、こちらは本当にオススメです。

 

      

 六本木ヒルズのアカデミーヒルズや東京ミッドタウンのサントリー美術館等、国内外の建築物に携わる建築家、隈研吾と年は衣鉢などに造詣が深いジャーナリスト、清野由美による共著。章ごとに都市がひとつ選定され、章の前半は隈さんによるテーマとなる街の開発にまつわる背景や、関連する都市論についての解説となっており、後半は両名が街を実際に訪れながら対談するという形式になっております。

 本書で取り上げた街は、汐留・丸の内・六本木ヒルズ・代官山・町田・北京といった顔ぶれ。大きく3つに分類すると、近年再開発をされたという街である汐留~代官山を取り上げた第一部、都市開発と旧来からの交易の拠点が不思議に同居している街の形として取り上げられた第二部の町田、国内にはないダイナミズムをもつ題材である北京について述べられている第三部という形に分類されます。

 正直、第三部の北京については、実際に足を踏み入れたことがなく想像ができないので、評価ができないところです。

 ただ、他の国内の町については非常に勉強になります。前半の4都市に関する部分では、開発主体の違いが街の形成にどのように影響を与えているかについてわかりやすく延べられております。

 具体的には汐留が各エリアごとに分譲されたのに対し、丸の内は三菱が旧来から開発していたエリアであったということであったり、六本木ヒルズは森ビルが数十年かけて作り上げた執念の地だというのに対し、代官山は旧来からの地主である朝倉家と建築家槇文彦によって長い期間をかけて作られてきた街であるということなのですが、これらの情報を知ると街歩きが一層楽しくなる印象を受けました。

 また、第二部の町田の特異性は読み物として面白いです。作られたベッドタウンとして街と旧来からの交易地としての街が交差する中で形成された町田の独自性は、隅さんが非常に面白がっているのですが、確かに、と思わされます。第一部とは違って意味で一度観察してみたくなります。

 そこで思うのは、本の中に実際に二人が歩いたルートの地図が欲しいということ。第一部の4つの街は自分なりに位置関係なども想像できるのですが、やはり実際に二人のルートを地図で図示されていると想像力がよりかきたてられる気がしました。

 とはいえ、街をフラフラ歩くのが好きな人間にとっては十分に満足できる一冊でした。

 

 チームバチスタの栄光の海堂尊による地方医療や産婦人科医療に対する医療行政への憤りをテーマとした作品。チームバチスタの栄光ではコミカルな田口と白鳥のやり取りの裏にテーマ性を持たせていたのに対し、本作ではテーマ性が前に出た作品。

 帝華大学に勤務する産婦人科医曽根崎理恵が主人公。不妊治療を専門とし、人工受精のエキスパートである彼女は歯に衣着せぬ発言を行う彼女は、大学の教授からは疎まれる存在です。

 そんな彼女は、大学病院での勤務の傍ら、閉院を迎えようとする小さな産婦人科のマリアクリニックで5人の妊婦の診察に携わります。彼女達は、それぞれ異なった状況で、それぞれ区切りを迎えます。

 そのような中、大学に一通の告発状が届きます。それは、現在の日本では禁止されている代理母出産に理恵が関わっているという内容。

 その真相を掴むべく、理恵の理解者である帝華大学の准教授である清川が調査を行い、物語が進んでいきます。

 途中の各妊婦が背負う胎児についての十字架についてのエピソードは非常に考えさせられるものがあります。最近、自分の周囲でも結婚、出産といった流れがおきつつある中で、自分だったら…ということについて思わされます。

 ただ、それ以上に現実の社会問題に対する憤りが前面に出すぎている上に、問題提起に関する部分が物語性を乏しくさせてしまっている上に、クライマックスが正直すっきりしないものであったのが、個人的には残念な所です。

 個人的には物語と現実の社会問題とは明確に分離されるべきものである、少なくとも現実の社会問題に対しての印象操作を物語が積極的にはすべきではないと思っています。物語は物語であるべきで、社会問題について提議したいのであれば、ノンフィクションの舞台で勝負すべきであり、言い訳がつく形式での発表は行うべきではないと考えます。(ノンフィクションがどこまでノンフィクションかは別です。)

 医療行政に対する憤りや、法制度についての欠点を指摘するのはいいのですが、それよりも物語としてのストーリー性をためて欲しいと思うのは贅沢な話なのでしょうか…。

 チームバチスタの栄光が物語として非常に優れていただけに、個人的にはがっかりさせられた一冊でした。

 基本的に忙しいと自分でいうのは好きではないのですが、今日はゴールデンウィークなのか?と思う位に打合せを大量に行いました、さすがに忙しいと思ってしまいました。

 具体的には以下のような感じです。(※全て場所は違う所)

 10:00-11:00@池袋

 11:30-12:25@池袋

 13:30-15:30@丸の内

 16:00-16:30@六本木

 17:30-19:30@丸の内

 20:00-21:00@丸の内

 営業職時代もここまで詰め込むことはなかっただろうスケジュール。さすがに最後の方は頭が回らなくなります。やりすぎたと反省。

 どうやら、自分が頭を使い続けられるアポイントは3~4件程度みたいです。人に会うだけならいいのかもしれませんが、それなりに準備をし、アウトプットを生み出そうとすることを念頭に置くと、そのあたりが限界。

 とりあえず、明日のアポイントは2件と少なめなので、今日出来なかったことを含め、事務処理を進めたり、頭の中を整理したりしたいと思うばかりです。

 以上、自戒を込めたエントリーでした。

Profile

HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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