書評:旅する会社/平野友康

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  世界ナンバーワンシェアを誇るVJソフト「motion dive .tokyo」、2007年度のグッドデザイン賞を受賞(*)したWebサイト制作ソフト「Bind for WebLIFE」等のソフトウェアを世に出しているソフトウェア制作会社の代表デジタルステージ、その代表取締役の平野さんの著書です。

先日仕事関係でお会いした方に「面白い人がいて、最近こういう本を出したんだよ」と紹介され、「面白そう!」と興奮した所、あつかましくもいただいてしまったのですが、あっという間に読んでしまいました。

 『生活にデザインが求められている時代において、「デザイナー」が考えたことを「カタチ」にする』ということを目標にソフトウェアの開発や、アーティストや企業とのコラボレーションを展開したりしている様子が、本書では描かれているのですが、随所に考えさせられる言葉があります。

 いくつか具体例を。

 まずは、P97「いかに人の気持ちに近い製品を生み出すか」から。

 これからは絶対に、「気持ち」の時代になる。

 個人の気持ちが大切な時代には、組織論なんて通用しない。ビジネスモデルとかシェアとかは関係ない。一番大切なのは、個人にとって、楽しいか、楽しくないかだ。

 次に、P197の「新しいパソコンのカタチ」で、OSのカタチが変わってくると述べたあとのコメント。

 どこのIT系企業もこぞって「リッチな体験」とか「ダイナミック」とか言っているけど、まずそういう言葉を使うことからやめないとダメだ。なぜなら、「リッチな農業体験」なんて言い方、農家の人は絶対にしない。同じように「ダイナミックな農業」とかも、ちょっとヘン。今のITの限界はそこにあって、大切なのは、人が使う姿を想像し、価値観やリアリティーを知り、その人の役に立つものは何かを相手の目線で考えることだ。 

 実際に自分達や自分達の身近な人が使いたいものを作ろうという姿勢でモノ作りを行い、結果としてもグッドデザイン賞を受賞し、数十万人の「有料」ユーザーを獲得しているなどの結果を残している人の言葉だけに、非常に説得力があります。(無料化、広告モデル化が進展するソフトウェアビジネスにおいて「有料」ユーザーを獲得しているということは個人的にすごいと思っております)

 タイトルの『旅する会社』というタイトルを聞くと、良くも悪くもどうしてもWeb2.0企業の雰囲気が漂ってしまうのですが、デジタルステージにはWeb2.0よりもよっぽど確かで、よっぽど自分達の生活に根付いたリアルがある、そう感じました。

 文句なしにオススメの一冊です。

 そろそろPCを買い換えようかと考えているので、その際にはMacにしつつ、ソフトを購入してみようとも思わされてしまいました。

 

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HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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