書評:<旭山動物園>革命/小菅正夫
日本最北の動物園、旭山動物園がいかにして「復活」したか、その理由・ノウハウといったものから、成功するための組織論、人と動物園の関係といったものが書かれている一冊です。自分自身、昨年の10月に初めて旭山動物園を訪れ、純粋に楽しかったことから関心を持ち、購入した本ですが、実際に自分が目で見てきて、体験してきたことだけに、説得力をもって受け入れられました。
旭山動物園では、危機を脱出するため「動物園とは何か?」ということを考えることからはじめました。その中で4つの役割があるということを意識付け、その役割に基づいて何をするべきかを考えさせることから始めます。
- レクレーションの場
- 教育の場
- 自然保護の場
- 調査・研究の場
といった役割を基本スタンスとして認識した上で、次に動物園のメンバーは「何をしなければいけないのか」「動物達を通して何を見せ、何を訴えるべきか」「動物たちになにをするべきか」といったことを考えます。
その結果として、飼育員達が自分達の言葉で説明する「ワンポイントガイド」が始まり、その後、「もぐもぐタイム」や「手書きポップ」へとつながっていきます。
と同時に、レクレーションを充実させるだけでなく、学術的な専門知識を磨き、基づき、動物達が過ごしやすい環境を作り出そうとします。結果として「ペンギンの散歩」やアザラシの「マリンウェイ」とった工夫につながる環境作りに成功します。(学術的、専門的な分野において、旭山動物園は数多くの日本産動物の繁殖に成功する等の実績を残しているそうです。)
具体的な工夫については実際に体験することが一番ですが、1つ1つの工夫に意味があったのだと思うと、一段と面白く感じられます。
そして、1996年には年間29万人にまで落ち込み廃園の危機にあった動物園は、2006年度には年間で300万人が入場者するまでに復活、そして発展を遂げます。
「珍しい動物の不在」「厳しい地理条件(気候、場所)」「予算が少ない」といった悪条件の中、アイデアと意識の改革、努力といったソフトパワーで成功を成し遂げたことは敬意を示さずにはいられません。
改革としての組織論としても、旭山動物園に遊びにいく前の事前準備としても本当に面白い一冊。必読です。
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