書評:ホームレス中学生/田村裕

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 何度も本屋で手をとりながら「買うべきか、買わざるべきか」と悩み続けた一冊でしたが、この年末年始で一通り本を読み終わってしまっていたこともあり、とうとう購入しました。

 本書を読むまでは、麒麟の田村がどれ位長い間ホームレス生活を送ったいたのか等イメージがつかなかったのですが、実際に本を読むと「あっ、そういうことだったのね」と知ることができます。(以下、少しだけネタバレが入りますので、まだ読んでいない方で、読む予定のある方は見ない方がいいです。)

 結果から言いますと、面白かったです、読後感も素晴らしい。

 中学校2年の一学期の終業式当日に父親の手によって「解散宣言」がなされ、夏休み突入と共に田村少年は「まきふん公園」でのホームレス生活に突入します。別の場所でホームレスをしていた兄がアルバイトするコンビニで食事をもらったり、自動販売機の下の小銭を探したりする生活を送りつつ、約一ヶ月間ホームレス生活を送った後、少年は同級生の家で生活させてもらうようにとなります。

 その後、同級生の親をはじめとする暖かい大人たちの支援により、少年は兄、姉と三人で一つ屋根の下で暮らせるようになり、田村少年が高校、そしてNSCを卒業するまでの間のエピソードが続いていきます。

 本書を読んで思わされたのは、周囲の人たちの暖かさはもちろん、田村さん本人の実直さです。小学校5年の頃になくなられた母親に対する思いや、恩人であった西村のおばちゃんの死と母親の死を重ね生きる意味を喪失してしまったこと、考えを変えるきっかけとなった工藤先生の手紙のエピソードなどがストレートに書かれており、その「さらけだす」勇気はすごいと思わされました。(実際は上手くぼかしているのかもしれませんが…)

 ただ、感動的なエピソードの反面、笑いを生むエピソードも多く収められており、感動だけに収まらせないのも個人的には好印象です。ホームレス時代の「ウンコの神様」や高校時代の「奇跡の発見」等は思わず、声を出して笑いそうになってしまいました。真剣に貧乏なだけに余計面白い。

 一方、心配なのは、今後「笑えない」危険性があること。本書を読んだ多くの人が「いい奴だなあ、頑張れ!」と思ってしまうだろうというのがその理由。10年前の「猿岩石シンドローム」にならなければいいのですが。元々M-1で実績を残しているから心配ないと思いたいですが…さて、どうなることやら。そういう意味でも2008年、注目かもしれません。

   

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HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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