書評:ハーバード流交渉術/フィッシャー&ユーリー

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 「原則立脚型」の考えに基づいて、いかに効率的に交渉を成立させるかについて述べられた本。約20年前に出版され、文庫本で第18版まで重版が行われている交渉術の古典ともいえる本。

 基本的に本書で述べられている内容はシンプル。まず、交渉の基本要素を「人」「利害」「選択肢」「基準」の4つに分解した上で、それぞれについて

  • 人・・・人と問題とを分離しよ
  • 利害・・・立場ではなく利害に焦点を合わせよ
  • 選択肢・・・行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ
  • 基準・・・結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ

 という対処法を基本原則として示唆している。

 例えば、2点目の利害という部分に関しては、相手の立場から考えられる基本的ニーズを「安全」「経済的権利」「帰属意識」「認められること」「自分の生き方を自分で決定すること」の5つに位置づけ、相手の立場がどのニーズに基づいたものなのかを考えることが重要といい、その中で具体例として「離婚における扶養料」を例としてあげている。

 その他にも、「相手に問いかける」「相手の言っていることを自分の言葉で置き換えて、理解を伝える」といったポイントや相手が強硬な主張にでた場合の回避策としての「柔道的交渉術」等について書かれており、平易且つ、具体的に書かれているので、翻訳文にしては比較的読みやすい。

 また、第二章では「解決の扉を開く交渉戦術」、第三章では「不利な状況を乗り越える交渉術」といった形でシチュエーションごとに文章が展開されているので、自分が交渉に臨む前に想定されうる状況について考えるのにも役立ちそうな印象を受けた。

 そういった点を含め、正直、「自分なりに実践しているつもり」という内容もある本。けれども、それ以上に、状況に応じどうやろうかというシミュレーションを行ったり、自分自身について気がつかされるという点で非常に有益に思えた。

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HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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