書評:「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み/岩崎明彦

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 2006年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞など4部門を受賞した「フラガール」、そのフラガールの製作の裏側には新しい仕組みである「シネカノン・ファンド第一号」というコンテンツファンドが存在していました。

 本書は、そのコンテンツファンドを立ち上げた著者によるファンド組成の裏側や映画ビジネスの構造、今後の映画並びに映画ファンドがどのようになっていくかについて、書かれております。

 個人的に関心を持ったのは、「シネカノン・ファンド第一号」の特徴。2004年12月の改正信託業法により可能になった「著作権信託」という仕組みを用いたファンドであはありますが、

  • 45億を20作品にわけて投資することでリスクを分散する
  • 作品の未完成に終わる「完成リスク」を回避する
  • 著作権について倒産隔離が具備されている

 といった特徴を持たせることで安心できる仕組みにしているということ。

 これにより「水モノ」と思われがちなコンテンツへの投資のリスクを減らすことを可能にしております。

 また、最終章で述べている映画ビジネスを含めたエンタテインメントビジネスと金融ビジネスの融合の必要性について述べております。シネカノンファンドはもちろん、過去、コンテンツに絡んだファンドを立ち上げてきた「通訳」である著者が言う言葉だからこそ、説得力があります。

 その一方、思ったのは、仕組みも大事だけれども、安定したリターンを生めるようになるには、エンタテインメントのビジネスとの関係構築が何よりも大事だということ。今回のシネカノンファンドの場合は「シネカノン」とパートナーが「目利き」「製作」「配給」といったポイントにおいて存在していることが、一番のKSFだと感じられたわけですが、(実際、著者も近い内容について言及しております)いかにして関係を築き上げるか、間違いなく、ここが肝となるでしょう。

 そういえば、最近、あまりシネカノン系の映画館に見に行ってなかったのですが(最後に見たのはフィッシュマンズの映画のはず)、久しぶりに見に行きたくなりました。

 もっとも、その前にフラガールを見なければいけないと思いますが…こちらは来週末にでもTSUTAYAにいこうかなあと思います。

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HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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