書評:チームバチスタの栄光/海堂尊

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 現役医師の手による医学ミステリーであり、デビュー作にして第四回「このミステリーがすごい!」大賞作品。ずっと気になっていたのですが、今回文庫化されたこともあったので購入、早速上下巻ともに読み終えました。

 感想は「本当に面白い!」の一言。

 以下、簡単にあらすじを。

 成功率が6割程度とリスクとの高い拡張型心筋症の「バチスタ手術」、そのバチスタ手術を過去連続で15度以上成功させ、活躍が新聞でもとりあげられた東城大学付属病院の「チームバチスタ」において、3度連続で「失敗」が起きます。そして、その原因について「窓際」医師の田口が院長の高階に内密で調査するよう依頼されるところから物語は始まります。

 依頼を断れない田口は、「チームバチスタ」のメンバーに聞き取りを行った上で、一枚岩と思われていたチームバチスタのもろさを知ります。そして、実際に手術に立ち会います。マスコミの注目も受けたアフリカのゲリラの少年に対する手術は何とか成功しますが、その後に行われた手術は再度「失敗」し、患者は術中死を遂げます。しかし、田口は原因を突き止めることはできません。

 田口から原因が分からないと報告を受けた高階は、ある切り札を差配します。厚生省にいる白鳥がそのメンバーです。「変人官僚」である白鳥は、田口の努力を認めつつ、田口とは違った手法を用い、再度聞き取り調査を行っていきます。常軌を逸した行動により周囲を敵に回していきながらも白鳥は田口には見えなかった世界をあぶりだしていきます。そして、物語はクライマックスへと向かっていくこととなります・・・。

 ストーリ展開の秀逸さもさることながら、登場人物のキャラクターが素晴らしいです。チームバチスタのリーダー桐生や厚生省の白鳥といったメンバーはもちろん、脇を固めるチームバチスタのメンバーや大学病院の幹部達、田口の所属する不定愁訴外来のベテラン看護士藤原等、一人一人特徴的、かつユーモアのある形で描かれています。

 さらに、現役医師ならではのリアリティーのある医療現場の描写もいいです。特に、大学病院という難しい組織や実際の医療現場で抱えているだろう問題の描写が優れており、物語に奥行きを与えてくれています。

 ちなみに、テイストとしては、「空中ブランコ」に代表される伊良部医師シリーズに似ており、奥田英朗が好きな人ならば、まず間違いなく楽しめるかと思います。

 ちなみに、来月には映画が公開されるので、こちらも是非見たいと思います。(サイトでキャストを確認したら、白鳥を演じるのが阿部寛(=テレビの「空中ブランコ」の伊良部医師)で「まさに!」という印象を受けたので、楽しみです。)

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HN:decchy
大手通信会社でエンジニア・営業経験を積んだ後、IT系ベンチャー企業に転職、 営業・企画・PR等を行うマネージャー業務を担当し、 2008年の東京インタラクティブ・アド・アワードに入賞する等の実績を残す。
現在はプライベートエクイティに転職し、投資業務並びに経営支援、新規事業開発支援業務に従事中。

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