三連休の最終日、下北沢で行われたShimokita round upにいってきました。
下北沢にあるCLUB QUEなど6箇所のライブハウス(一部はライブハウスではないですが)を利用し、一つのイベントとする音楽フェスティバルでしたが、面白いアーティストに出会えました。それは「いろは」というバンド。
別の会場を出る際にチラシを受け取り、「これも縁」と思って観にいったのですが、予想以上に面白かったです。
演奏もよかったのですが、それ以上によかったのはバンドとしての姿勢。
自分達を知ってもらうためにメンバー自らチラシを配っていたということ、演奏中にボーカルが汗で眼鏡が曇っていても気にせずに「一生懸命」歌い続けていること、ベースとドラムがすごい楽しそうに演奏していたこと等、自分達と自分達の周りの物事に正面から向き合っているのが伝わってきました。パフォーマンスが正直気恥ずかしい部分もあったのですが、見ていてうれしくなるバンドでした。(曽我部恵一の「テレフォン・ラブ」とかやっちゃうのがまたツボでしたが)
ちなみにRUSH BALL2008にも参加していたようですが、その時のMCがいいです。(公式レポートより転載)
「お目当てのバンドが良いライブを見せてくれてもテンション上がるけど、誰かわからないようなバンドが良いライブをしたらもっとテンションあがるから」
裏で地道な活動をしつつ、こういうことを言える心意気が非常にいいです。演奏等は他のバンドの方が良かったと思いますが(2007年のライジングサン以来のLOST IN TIMEが個人的には良かったです)、期待感という点を含め、今回は彼らがイチバンでした。
来年以降、より多くのフェスに出てくると思いますが、非常に楽しみになりました。
また、イベント自身は、オペレーションが不慣れだったり、バンドの質がマチマチだったりというところはありましたが、試み自体は非常に良かったとは思います。是非、今後も続けていってもらいたいものです。
およそ半年ぶりに「本が好き!」から献本をいただいた一冊。久しぶりにノウハウ本を読みたくなった際に献本の案内が来ていたので、応募しました。
著者の丸山さんは司法書士を行いつつ、企業サポートのコンサルティングを行っておりますが、本書はその著者が実践しているノウハウを中心に、企業家が成功するにはどうしたらいいかがまとめられております。
本書を読んでの印象は、著者の考え方は非常にシンプルに構成されているということ。
具体的に言うと、基本的に著者が考える成功するための条件は2点
(1)インプットとアウトプットを効率的に行えるかということ
(2)物事を効率的に組み合わせられるか
ということに集約しております。(要は「生産性の向上」です。)
実際、各章では、テーマである「勉強法」「読書法」「人脈づくり」「アイデア発想法」「目標達成術」「モチベーションアップ術」について上記の2つの条件から具体的にどうしたらいいかのノウハウが述べられているわけですが、総論としては非常に納得できる内容となっております。
例えば、本書第4章「成功する企業家のアイデア発想法はこうなっている!」で書かれている「アイデアの組み合わせ力」の話がそれに当てはまります。
P125において著者は
- (知識を)組み合わせて独自の情報・知識に変換してアウトプットする
- インプットした知識に自分自身の実践例を交えて、独自の情報・知識に変換してアウトプットする
といった手法により情報を加工することの大切さを説いておりますが、上記の内容は個人的にも非常に大事にしている点ですが、ジェームス・W・ヤングの名著「アイデアのつくり方」にも通じており、非常に納得感がありました。
ただ、本書については2点欠点があります。それは、「成功」の定義があいまいであることと、各章の具体例が説得力のないことです。とりわけ前者がはっきりしないのが問題だと個人的には感じております。
わかりやすい対比例として勝間本の代表でもある「年収10倍アップシリーズ」(*1)が挙げられます。この場合の成功基準は明らかに「年収10倍」(現在の新卒の基準だと年収4000万円位?)とうたっているので、成功のイメージが掴みやすいと思います。
*1 「無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」「無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法」
一方本書だと、正直、著者の考えている成功基準が分かりません。年収なのか、事業規模なのか、敬意を払われる存在なのか、生き延びることなのか・・・成功に対しての定義付けがないと、本書の言葉が説得力を帯びてこないというのが率直な印象。 このあたりは著者だけでなく編集者のスキルの問題でしょうが、残念でなりません。
結論としては、献本でいただいておいてという所ですが、本書に関しては「書籍としての文章には期待せず、目次で気になった項目だけ読み、実践してみる」位のショーケース的なスタンスで読むのがちょうどいいのでは、といったところでした。
期待していただけにがっかりさせられた一冊でした。

成功する起業家の「非・常識」勉強法
- 同文館出版
- 1575円
書評/ビジネス
およそ二年ぶりに新宿LOFTにいってきました。目当ては小谷美紗子さんのライブ。
以前ブログで少し書いたのですが、RISINGSUNの会場で漏れ聞こえてきた音が非常によかったので観にいってきました。結論から言うと、シャープな音と声量にあふれた声を堪能できたいいライブでした。
開演時間から少し遅れ「Rum&Ginger」「Who」といった楽曲からスタートしたライブは2組のゲストが登場しました。
まずは、アルバムadoreでも共演している田渕ひさ子(bloodthirsty butchers, ex NUMBERGIRL)さん。彼女とは「照れるような光」等、計4曲を一緒に演奏。中でも、「照れるような光」は歌詞に迫力があり印象的だったのですが、記念すべき4人での演奏できけたのが個人的には大満足でした。
その後はトリオに戻り、新曲を含め数曲の演奏。そして、「消えろ」を演奏後、再度ゲストが。小谷さんの「ミュージシャンとしての恩人」という吉野寿(eastern youth)が登場し、2曲「東京」「音」を演奏。
そして、アンコールで「手紙」を演奏し、ステージは終了。
一時間半程度とワンマンにしては短めの時間でしたが、上記の曲以外にも「How」「Out」等聞きたかった曲も一通り聴くことができたことも、満足度をあげる要素でした。
来年一月にはツアーがあるそうなので、忘れずにチケットを入手したいと思います。
東京国際映画祭(TIFF)で先行上映されていた少年メリケンサックをみてきました。来年2月公開予定の宮藤官九郎監督作品ですが、まずは簡単にストーリーを。
音楽レーベルで新人発掘を担当するダメ契約社員のかんな(宮崎あおい)はある日、mixiに張られていた少年メリケンサックという名前のパンクバンドの映像を発見し、レーベルの社長(ユースケ・サンタマリア)に報告し、社長は彼らを気に入り、スカウトし、アルバムを一枚制作するようにかんなに命じます。
かんなは彼らにアポイントをとりますが、実はその映像は25年前のもので、バンドメンバーは50近いオッサンになってしまっており、また、メンバーは離れ離れや車椅子生活になってしまっている等、ありえない状態であることが判明します。
その一方、HPに張られた25年前の映像は大人気。そのため、社長からは全国ツアーをやるようにという指令が下されました。「ありえない」と思いつつ、カンナは自身の契約期間の延長のため、そして佐藤浩一演じるベーシスト・アキオ役の不思議な説得力をもつ言葉を信じ、乗りかかった船で全国ツアーに乗り出すことになり、ドタバタ劇と人間ドラマがはじまります。
感想としては、クドカン流のバンドとロックに対する愛情が伝わってくる作品でした。自らグループ魂というコミックロックバンドで活動しているということもあるかもしれませんが、ロックの楽しさやバカバカしさに敬意を払っているのが伝わってきました。
また、俳優陣の演技がすばらしい。佐藤浩一や木村祐一といったメリケンサックのメンバーはもちろんですが、エキセントリックなオッサンバンドのパワーに負けじとパワフルに行動する宮崎あおいのコメディエンヌとしての演技は特筆に価します。確実に笑えます。(個人的にはちょこちょこ出てくるピエール瀧がツボにはまりそうでしたが)
脚本としては、良くも悪くも一部「流した」という点がみうけられたり、また作品自身も必ずしも間口が広い一般的なものではないかもしれませんが、音楽好きなら必ず楽しめる一作だと思います。
公開は2月とのことですが、Youtubeには色々と予告編があがっていて、これをみるだけでも楽しくなりますので、こちらもオススメです。
最近更新が減っていたのですが、今日は仕事の話を。
仕事柄、経営サイドの人と話をすることが多く、前職を含めると2-300名にお会いしているとは思うのですが、段々経営者を判断する自分なりの価値基準ができてきました。今日はその話を。
経営者を判断する場合の基準として、「話の具体性」と「わからないことはわからないと言える」ことが大事だと感じております。
まず、前者に関しては中小企業の経営者には絶対に必要なことと認識しております。よくも悪くも中小企業は経営者のカラーに引きずられるからというのがその理由ですが、この点については、自社のビジネスモデルや業務の詳細について1,2度かヒアリングすると良く分かります。一般論だったり、誰かの格言を引き合いに出して、話に具体性がない段階で個人的にはヤバイと判断します。(Googleとかを引き合いに出すようなタイプの人間や、ネットがあるから新聞は必要ないというようなタイプの経営者がこのタイプには多い印象があります。)
次に後者ですが、これは投資後にも関わってきますが、マイナスの情報を伝達できない経営者は「悪い情報を隠す、ごまかす」傾向にあり、また会社自体も上手くガバナンスが利いていない可能性が高いと感じております。特にハンズオンで事業支援を行うことを前提にしている身にとっては、事業支援を確実に遂行するためにも正直な状況と課題、希望を伝えてもらえると助かるわけで、悪い情報を隠されると色々と不都合があります。(「経営者は弱みを見せてはいけない」という考えもあるかもしれませんが、そのあたりは会話や財務諸表、組織図等から透けて見える事項なので隠してもしょうがないというのが個人的な意見です。もちろん話し方を選ぶ必要はありますが。)
他にも何点か注意している点はあるのですが(自分の主観を一般論とすりかえる癖がある、表現がいちいち大げさ等)、経営者に限らず、上記2点に気をつけるだけで、仕事をするパートナーとして適切かどうか見ることができるのではないかと個人的には思ってます。
ちなみに、この価値判断をブレさせないためには「反面教師」の存在が大事だと思っています。この辺は、コアとなる人を中心に組み合わせ、随時アップデートしていくようにしておりますが、あまりやりすぎると性格がどんどん悪くなる気がするので気をつけなければいけないと感じております。
書評を書いていない本もたまっているのですが、たまにはということで、仕事の話でした。
容疑者Xの献身を見にいってきました。三連休の最終日の午後1時前に始まった回で客の入りは450席強あるシアターで80%位でした。
正直、原作もドラマ版も見ていない、頼りは定期購読しているダ・ヴィンチの特集記事だけという中での観賞でしたが、予備知識のない人間でも十分に楽しむことができました。
まず、役者陣が安心してみていられます。天才物理学者の湯川を演じる福山雅治と、彼と対峙する数学者の堤真一を始めとする役者陣の演技は安心してみていられます。
特に石神を演じる堤真一の演技が素晴らしい。自らが思いを寄せる花岡靖子を一途に守もうとする根暗な数学者という役柄をパーフェクトに演じてい他のではないかと思います。特に中盤から終盤にかけてみせる狂気的な姿には完全に騙されてしまいました。
また、これは原作の力が多分にあるのかもしれませんが、トリックが見事でした。シンプルだけど人の盲点をつくトリックは、伊坂幸太郎のアヒルと鴨のコインロッカーとも似ており、「やられた!」と思わざるをえませんでした。
ひょっとしたら原作と比べると評価は落ちるのかもしれませんが、十分に見るに値する作品でした。これを記に原作本も読んでみることとします。
実に9割が慢性的に赤字を抱えているという日本の旅館について、近年成功している旅館の取り組みを通じ、どのようにサービスを展開し、復権させていくべきかについてかかれた一冊です。
著者は、日本の旅館の低迷の根本的な原因を「団体旅行目当ての拡大路線」としています。高度経済成長からバブル経済の時期に至るまで、旅行代理店経由の団体客を獲得するために借入金を増やし、部屋数や設備を拡大したのはいいものの、バブルが崩壊した上に、旅行スタイルが団体から個人にシフトしてしまったことが原因となり、中規模クラスの旅館・ホテルが廃業や倒産に追い込まれているということです。
それに対して、まず、本書では、和のテイストを取り入れている海外リゾート、京都等の老舗旅館におけるホスピタリティの姿を紹介することで、あるべき姿について一つの示唆を与えます。
その上で、石川県山中市の「かよう亭」における宿屋ベースの取り組み、黒川温泉等の地域における取り組み、旅館再生のエキスパートといわれる星野リゾートにおける取り組みといったことが、様々なレイヤから語られていきます。
本書を通じて思ったのは、取材の丁寧さ。各旅館の地域の特色から、旅館内部の風景描写に至るまでが、非常に丁寧に描かれており、綿密な取材に基づいて執筆されている印象を受けます。このあたりは、プロの仕事を感じさせます。
ただ、一方で思ったのは、理想論に過ぎる傾向があるということ。
それが端的に現れているのが、P212にある以下の文章。
本書で取り上げた星野リゾートによる旅館再生とは、「ダメなホテル」と化した大型日本旅館を「いいホテル」に進化させる努力である。規模や顧客対象を拡大した日本旅館を、そのまま未来に維持していくには、おそらくこの手法しかないだろう。
だが、本来の日本旅館の魅力を「正統進化」させるためには、旅館の主人と女将が豊かなホスピタリティを持って顧客を迎え、小規模な状態で家族的サービスを提供することによって、客の信頼を獲得するしかない。
上記の考えは至極まっとうだとは思いますが、この形態では50年、100年と時代を経た場合に、旅館側が生き残っていくのは正直厳しいと個人的には考えます。
その一番の要因は、今後間違いなく増えてくる、星野リゾートのような形態のホテル連合の増加、海外の高級リゾートの国内進出という直接的脅威にあると考えます。
上記のようなホテル連合などは、今後も、「地域文化に合わせたホテル展開」「近代的コスト意識」「教育並びに、データベース化によるホスピタリティの確保」といった特徴をもって大規模旅館が各地で展開し、高い満足度を得るようになるでしょう。さらに、上記のサービスを享受するであろう世代は、20代から30代で比較的可処分所得が高い層である可能性が高いと考えます。そうすると、彼らが40代、50代となった場合に、わざわざそれより高い費用を払い、どこまでいいサービスが受けられるか分からない高級旅館に滞在するかというと個人的には難しいという印象を受けます。(その他に産業としての発展性等もありますが…。)
ただ、本書について言いたいのは、内容や意見の正しさよりも、「いい新書」だいうこと。個人的にいい新書とは、読み手に対して一定の示唆を与えてくれる本であり、そのために「綿密な取材」「精緻な描写」「明確な主張」(合意できるかは別)の3つが存在していることだと考えておりますが、本書にはそれがあります。
角川oneテーマには良書が多い印象がありますが、本書もそれに漏れずいい本でした。著者の前著である「ホテル戦争」も時間を見て読んでみることとします。